研究課題/領域番号 |
24591264
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
田中 茂 広島大学, 医歯薬保健学研究院(医), 助教 (20512651)
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研究分担者 |
松本 昌泰 広島大学, 医歯薬保健学研究院(医), 教授 (20192346)
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キーワード | GPCR / 神経細胞 |
研究概要 |
G蛋白質共役型受容体(GPCR)は様々な細胞内伝達物質の制御に関わるが、申請者はこれまでに中枢神経系に豊富に発現し、神経突起伸長、生存、分化を制御するGPR3・GPR6・GPR12の機能を解明してきた。本研究の目的は、虚血性脳障害の新規治療法開発を目指して、神経発生過程におけるGPR3の発現と神経細胞の分化・成熟・シナプス形成に関わる機能を詳細に解析し、そのデーターを基に神経幹細胞へのGPR3遺伝子導入が新生神経細胞の分化に与える影響を検討することにある。前年度までに、GPR3の齧歯類脳における発現分布を詳細に解明し、神経細胞内における発現局在を明らかにした。本年度は、神経細胞内局在をさらに詳細に検討し、細胞局所におけるGPR3の機能を詳細に検討した。GPR3の神経細胞内局在を明らかにするため、GPR3と蛍光タンパク質の融合蛋白を発現するベクターを構築し、標識蛍光蛋白を用いた局在解析を試みた。GPR3融合タンパク質は細胞膜、ゴルジ体、エンドソームマーカーとの共局在が観察し、GPR3融合タンパク質小胞が神経突起内を経時的に移動することが明らかになった。さらにGPR3小胞の移動は、ミオシンII の阻害剤であるブレビスタチンにより抑制された。さらに、GPR3の細胞内局所での機能を明らかにするため、PKAのFRETインジケーターを用いた検討を加えた。SH-SY5Y細胞において、GPR3過剰発現により神経細胞体、突起先端でのPKAの活性が上昇し、GPR3siRNAによる内在性GPR3発現抑制により、神経突起先端部での著明なPKA活性低下を観察した。これらの結果から、GPR3は神経細胞における基礎レベルのPKA活性化に関連し、神経突起伸長や分化などの神経細胞活動に寄与する可能性が明らかとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成25年度の研究計画では、神経細胞におけるGPR3の神経極性に関して詳細に検討を加える予定であった。当初の計画通り、GPR3の神経極性に影響を与える機能を詳細に検討するため、FRETマーカーを用いて解析を行った。しかしながら、GPR3の直接的な極性形成に与える影響に関しては解析途中であり、次年度に持ち越して検討を行うことになった。
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今後の研究の推進方策 |
平成26年度は、神経細胞におけるGPR3の神経極性形成、シナプス形成との関与に関して検討を加える予定である。また、神経前駆細胞(NPC)とGPR3遺伝子導入による分化修飾に関しても検討し、当初の計画通りGPR3遺伝 子導入細胞を用いて、ラット虚血脳への細胞移植実験を行い、移植局所における神経前駆細胞の分化、シナプス 形成に与える影響を検討する予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
当該年度は、動物虚血モデルの使用実験がなく次年度使用額が生じた。 翌年度配分助成金と併せて、動物購入費・消耗品購入費に使用する予定である。
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