研究課題
高齢(26ヶ月齢)のAPPトランスジェニック(tg)マウスにAβペプチドを免役し脳炎を惹起した場合と、Aβ反応性のCD4+Th1+ T cellを移入した場合において、新たな免疫抑制因子であるSPARC/osteonectinを用いて治療し、免疫反応の抑制、脳炎の改善効果を解析した。Aβペプチドを免役し脳炎を惹起した群においては血管周囲にCD4+ T細胞とIba-1陽性のミクログリアを認めた。一方、更にSPARC/osteonectinリコンビナント蛋白をマウスに投与した群においては、明らかなCD4+T細胞やB細胞の浸潤は認められなかった。脳の老人斑染色では、Aβ沈着の量はこの両群に有意な差は無かった。次に脳炎惹起性(Th1/17)T細胞クローンを高齢(26ヶ月齢)のAPP tgマウスに移入し、マウスの脳にどの程度の炎症が惹起されるかと同時に、SPARC/osteonectinリコンビナント蛋白をマウスに投与し、その抗炎症作用を解析した。脳炎惹起性(Th1/17)T細胞クローンを移入した群においては、血管周囲にCD4+ T細胞浸潤を認めた。同時にSPARC/osteonectinを投与した群のマウスではT細胞、B細胞とも浸潤は認められなかった。炎症性サイトカインの発現は、特にAβペプチドを免役し脳炎を惹起した群と脳炎惹起性(Th1/17)T細胞クローンを移入した群において、TNF-αの発現がみられ、SPARC/osteonectinを投与した群のマウスではTNF-αの発現は低下していた。興味あることに、SPARC/osteonectinを投与した群のマウス脳においては、抑制系のサイトカインIL-6の発現が増加していた。SPARC/osteonectinは炎症細胞の脳内浸潤抑制、炎症性サイトカインの発現低下と抑制系IL-6産生誘導などの効果があると推察される。
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