研究課題
オートファジーによる凝集体分解(アグリファジー)機構における基質認識を解明するために、α-シヌクレイン凝集体や他の易凝集性蛋白質をモデルに解析を行った。今年度はオートファジーアダプター蛋白質SQSTM1/p62の基質との結合制御を明らかにするために、凝集体形成細胞におけるp62のS351およびS403のリン酸化を免疫細胞化学およびウエスタンブロットで解析を行った。その結果、fibrilα-シヌクレインを導入した細胞ではS351リン酸化p62の増加が起きた。また、他の凝集性蛋白質の発現でも同様の結果を得た。さらに、免疫細胞化学解析の結果、S351リン酸化p62の凝集体への局在も確認できた。一方、我々が用いた凝集体モデルではS403のリン酸化は起きなかった。これらの結果から、Keap1のオートファジー分解やゼノファジーと同様に、アグリファジーでもS351のリン酸化が重要な役割を担っている可能性が示唆された。そして阻害剤実験から、このリン酸化にPI3K-mTor経路が関与していることも明らかにした。次に、α-シヌクレイン凝集体のオートファジーによる分解のライブイメージング観察を試みた。293細胞にEGFPを融合したα-シンクレインを発現させ、その後in vitroで作製したα-シヌクレインfibrilを細胞に導入する。そして、Lysotracker-Redでリソソームを染色し、細胞内で形成されたα-シンクレイン凝集体の分解をタイムラプス解析した。その結果、生細胞でα-シンクレイン凝集体分解を観察できるようになった。
2: おおむね順調に進展している
本年度は選択的オートファジー分解における凝集体の認識機構の解析を行う計画をしていた。p62のリン酸化を介した基質結合を明らかにすることができたので、概ね計画通りに研究は進展している。
オートファジーアダプター蛋白質p62のα-シンクレイン凝集体の認識機構の解明とBAG3のこの機構へ関与を明らかにする。特に、p62のリン酸化の制御機構を明らかにする
今年度末に抗体を発注予定であったが、海外取り寄せのため納期が今年度に間に合わなかった。そのため次年度使用額が生じた。来年度に納品されるので、その支払いに充てる。
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PLoS ONE
巻: 9 ページ: e89327
10.1371/journal.pone.0089327. eCollection 2014.