研究課題/領域番号 |
24591273
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 京都府立医科大学 |
研究代表者 |
吉田 誠克 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (90457987)
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研究分担者 |
水田 依久子 京都府立医科大学, 医学部附属病院, 研究員 (80397760)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 神経内科学 / 分子遺伝学 |
研究概要 |
アレキサンダー病はGFAP遺伝子変異により病理学的にアストロサイトの細胞質に凝集体を認め、臨床的にはアストロサイトの機能障害により大脳、延髄・頸髄に異常を認めるまれな神経変性疾患である。詳細な病態は不明であり有効な治療法もない。平成24年度は病態を解明するための細胞モデルの確立を試みた。当初はより病態に近いモデルとしてヒト由来アストロサイト培養細胞への変異GFAP遺伝子導入を試みたが、不成功に終わったため、ホスト細胞をアストロサイトーマ由来細胞として安定発現系の作成を試みている。作成後はDNAチップ解析にて発現遺伝子の網羅的解析を行い、病態解明を行うとともに、薬物スクリーニングを行い、GFAP発現量、αBクリスタリン、熱ショック蛋白27などのシャペロン蛋白の変動について免疫組織化学、リアルタイムPCRを用いて比較検討する。 また、われわれが確立したGAL4/UASシステムを用いた複眼特異的に野生型および変異GFAPを発現するアレキサンダー病ショウジョウバエモデルに対して、GFAPの凝集抑制効果があるとされるセフトリアキソン、アストロサイトに保護的効果が示されている漢方薬(抑肝散)や抗てんかん剤(ゾニサミド)を食餌として与えることにより薬物スクリーニングを行った。ヒトに使用する濃度では明らかな改善効果は認めなかった。今後は種々の濃度にて再実験を試みる。また、グリア特異的に発現するショウジョウバエモデルを確立し、その表現型の解析および薬物スクリーニングを行うことを計画している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
細胞モデルの確立については当初計画していたヒト由来アストロサイト培養細胞への変異GFAP遺伝子導入に難渋した点でやや遅れが生じている。ただ、ホスト細胞をアストロサイトーマ由来細胞に変更してからの安定発現系の作成はおおむね順調である。ショウジョウバエモデルに対する薬物スクリーニングはヒトに使用する濃度では明らかな改善効果は認めなかった。有用な結果はまだ得られていないが、概ね順調に経過しているものと思われる。
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今後の研究の推進方策 |
安定発現細胞モデルを確立させたのち、DNAチップ解析にて発現遺伝子の網羅的解析を行う。病態に関連する候補遺伝子を基に病態解明を行う。また、本モデル細胞を用いて薬物スクリーニングを行い、GFAP発現量、αBクリスタリン、熱ショック蛋白27などのシャペロン蛋白の変動について免疫組織化学、リアルタイムPCRを用いて比較検討する。 また、ショウジョウバエモデルに対しては種々の濃度にて再実験を試みるとともにグリア特異的に発現するショウジョウバエモデルを確立し、その表現型の解析および薬物スクリーニングを行うことを計画している。
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次年度の研究費の使用計画 |
安定発現細胞モデルおよびグリア細胞特異的発現ショウジョウバエモデルの作成および薬物スクリーニング後の解析として利用する免疫組織化学、リアルタイムPCRなどに使用する試薬および抗体、DNAチップにかかる物品費および本研究に係る研究成果発表のための旅費に次年度の研究費を使用する計画である。
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