研究課題/領域番号 |
24591275
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研究機関 | 北里大学 |
研究代表者 |
永井 真貴子 北里大学, 医学部, 講師 (80420488)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 筋萎縮性側索硬化症 / 動物モデル / TDP-43 / optineurin / トランスジェニックマウス / アデノ随伴ウィルス |
研究実績の概要 |
(1)トランスジェニックマウスの作製 神経細胞特異的に発現するThy-1プロモーターを使用し,その下流にLoxP 配列で挟んだ赤色蛍光色素であるdsRed cDNA,さらにその下流に正常型TDP-43 cDNA を挿入したトランスジェニックマウスを作製した。作成したトランスジェニックマウスの大脳・脊髄をホルマリン固定後,組織を薄切し解析した。マウス大脳皮質の神経細胞,錐体路,脊髄前角の運動神経細胞に赤色蛍光色素の発現が確認でき,目的のトランスジェニックマウスを確立できたと考えた。続いて理研より供与されたVAChT-Creトランスジェニックマウスと交配を開始した。VAChT-Creトランスジェニックマウスは,運動神経細胞特異的にCreが発現するマウスで,交配により,loxPに挟まれた配列が排除され,代わりにその下流にあるTDP-43cDNAの発現が期待されるが,交配から1年を経過し,臨床症状は発現していない。 (2) アデノ随伴ウィルス(AAV1ウィルス)によるTDP-43/OPTN発現マウスの作製 正常型TDP43(WT-TDP43), 変異型TDP43(A315T変異TDP43, TDP43-C末端断片),正常型OPTN(WT-OPTN),変異型OPTN(E478G-OPTN)のcDNAを組み込んだAAV1ウィルスを作製した。ウィルスを片側腰髄の前角に注入すると2週間後から運動神経細胞にTDP43/OPTN蛋白が発現した。このTDP-43の過剰発現ではマウスの運動神経細胞死が起こり,一側下肢の麻痺が出現した。細胞死は核内に発現が認められた,正常型TDP43およびA315T変異TDP43で急速に起こり,一方TDP43-C末端断片は細胞質に発現が認められ,細胞変性は緩徐に起こった。論文作製中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
目標としたトランスジェニックマウスを確立し組織の解析を終えたが,交配に時間を要したため,3年間の研究期間内に臨床症状を来す,筋萎縮性側索硬化症のモデルマウスの作成に至っていない。アデノ随伴ウィルスを用いた筋萎縮性側索硬化症のモデルマウスの作成方法を確立し,解析を終えた。
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今後の研究の推進方策 |
トランスジェニックマウスについては,交配中のマウスの発症を待ち,途中経過で大脳・脊髄の組織を解析する。アデノ随伴ウィルスを用いたモデルについては論文を完成させる。
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次年度使用額が生じた理由 |
交配中で臨床症状の発現を観察しているマウスがいるため。
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次年度使用額の使用計画 |
マウスの維持のため交配用マウスの購入代金など。
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