• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2013 年度 実施状況報告書

代謝ストレス応答を介したアストロサイトの糖尿病性脳症に対する保護機構の解明

研究課題

研究課題/領域番号 24591276
研究機関慶應義塾大学

研究代表者

高橋 慎一  慶應義塾大学, 医学部, 准教授 (20236285)

キーワードastroglia / Keap1/Nrf2 / PPP / LPS / TLR4
研究概要

糖尿病における炎症反応の関与が注目されている。虚血性神経細胞障害において、内因性LPSリガンドが神経系細胞に発現するTLRsに作動し、種々のpro-inflammatory responseを惹起することが知られており、TLR4のノックアウトマウスでは梗塞巣が縮小することが報告されている。TLR4はニューロンのみならず、グリア系細胞にも発現が確認されており、特にmicrogliaにおいては、TLR4刺激がニューロンに傷害作用をもたらすことが知られている。しかし、同じグリア系細胞であるastrogliaにおけるTLR4の作用は十分に検討されていない。また糖尿病における臓器障害におけるTLR4の関与、特に脳における作用はほとんど検討されていない。今回、培養astrogliaにLPSを添加したところ、PPP活性化が生じることが明らかとなった。PPP活性制御にはphase 2 detoxifying/antioxidant enzymesのマスターレギュレーターであるKeap1/Nrf2システムが関与し、Nrf2が核移行することで酵素合成が誘導される。核移行促進因子の1つにNrf2リン酸化が想定され、Nrf2はMAPKのリン酸化基質であることが知られている。LSP刺激がMAPKを介してPPPを活性化することは、astrogliaのTLR4刺激を介した炎症性神経細胞障害に対する保護機構と考えられた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

昨年度における計画通りに、TLRを介したastrogliaの脳保護機構を予測し、TLR4リガンドであるLPSに対する培養astrogliaの反応を、PPP活性化およびその制御機構としてのKeap1/Nrf2システムの活性化として具体的に示すことができた。、また両者をつなぐシグナル経路としてMAPKによるNrf2リン酸化を明らかにすることができた。

今後の研究の推進方策

糖尿病に付随するインスリン抵抗性や、低血糖は脳に対する障害因子として作用するが、脳の有する内因性の保護物質としてケトン体(KB)の機能を検討する。肝臓で産生・供給される”外因性”KBは脳のエネルギー基質となることが古くから知られているが、今回は脳内で産生される”内因性”KBに注目し、特にastrogliaのKB産生制御メカニズムを明らかにし、astroglia由来の”内因性”KBがもたらすneuron保護作用を証明する。

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2013

すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (1件) (うち招待講演 1件)

  • [雑誌論文] Roles of metabolic compartmentalization by astrocytes and neurons in the pathophysiology and treatment of Parkinson’s disease2013

    • 著者名/発表者名
      Shinichi Takahashi, Morinobu Seki, Norihiro Suzuki
    • 雑誌名

      Brain and Nerve

      巻: 65(2) ページ: 1497-1508

    • 査読あり
  • [雑誌論文] NVUにおけるBBBの役割とcellular metabolic compartment2013

    • 著者名/発表者名
      髙橋愼一、安部貴人、伊澤良兼、飯泉琢矢、鈴木則宏
    • 雑誌名

      脳循環代謝

      巻: 24 ページ: 75-82

  • [雑誌論文] 脳血管とアストロサイト-neurovascular unitの概念について-2013

    • 著者名/発表者名
      髙橋愼一
    • 雑誌名

      神経内科

      巻: 79(2) ページ: 247-5

  • [雑誌論文] 血液脳関門および脳循環・代謝調節とアストロサイト2013

    • 著者名/発表者名
      髙橋愼一
    • 雑誌名

      実験医学

      巻: 31(14) ページ: 2195-2203

  • [雑誌論文] Neurovascular unit: NVU2013

    • 著者名/発表者名
      髙橋愼一
    • 雑誌名

      分子脳血管病

      巻: 12(4) ページ: 53(387)-58(392)

  • [学会発表] アストロサイト研究の現状と展望2013

    • 著者名/発表者名
      高橋愼一
    • 学会等名
      第25回日本脳循環代謝学会総会
    • 発表場所
      札幌
    • 年月日
      20131031-20131101
    • 招待講演

URL: 

公開日: 2015-05-28  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi