研究課題
視神経脊髄炎(NMO)患者血清中に水チャンネルとしてアストロサイト足突起に広く分布するaquaporin4(AQP4)に対する抗体が存在する。AQP4にはAQP4M1とAQP4M23の2つのisoformが存在し、生体内では2つの分子がheterotetramerの状態で存在している。本研究ではこのAQP4の2つのisoformを同時に発現するより生理的発現に近い系を作製した。ヒトAQP4M1とAQP4M23のC末端にそれぞれ蛍光標識RFPとAcGFPを組み込み、AQP4M1とM23を同時に恒常的に発現するアストロサイト細胞株を樹立した。このAQP4 M1/M23発現細胞をショ糖密度勾配超遠心法で解析し、AQP4の大部分は脂質ラフト画分に存在した。一方、AQP4M1またはAQP4M23を単独で発現させた細胞では、AQP4M1は大部分が脂質ラフトに存在し、AQP4M23は脂質ラフトと可溶性画分の両方に存在した。また、AQP4 M1/M23発現細胞では、AQP4 は4量体を形成していることが確認された。AQP4 M1/M23発現細胞をコレステロールのキレート剤であるmethyl-b-cyclodextrin やコレステロール合成阻害剤simvastatinで処理して脂質ラフトを破壊したのち、AQP4分子の局在の変化を調べた結果、処理前にAQP4は脂質ラフト画分に存在していたが、処理後その多くの分子は可溶性画分に移動し、AQP4分子の局在が変化することが確認された。また、AQP4 M1/M23発現細胞に、NMO-IgG とヒト補体を添加して、CDC assayを行い死細胞を定量した結果、約60%の細胞に細胞死が認められたが、methyl-b-cyclodextrinやsimvastatinで前処置を行うと、細胞死が約20%に減少した。このことから、AQP4分子の脂質ラフトへの局在を減少させることにより抗AQP4抗体の作用を軽減させNMO病態を軽減させる可能性が示唆され、スタチンによる治療の可能性が示唆された。
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