研究課題/領域番号 |
24591280
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研究機関 | 関西医科大学 |
研究代表者 |
竹之内 徳博 関西医科大学, 医学部, 准教授 (20533235)
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研究分担者 |
田中 正和 関西医科大学, 医学部, 助教 (20454613)
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キーワード | HTLV-1 / 樹状細胞 / 感染モデル |
研究概要 |
平成25年度は当初の計画に基づき、NOG-SCIDマウスへヒト臍帯血由来造血幹細胞を移入し、ヒト化マウスを作製した後に、HTLV-1感染細胞株を接種することで、マウス体内の血球細胞へHTLV-1を感染させ、そのマウス脾臓よりHTLV-1感染ヒト樹状細胞の分離を行った。また前年度に行った、ヒト臍帯血より単球を分離し、サイトカインを用いることで樹状細胞へ分化させ、分化された樹状細胞へHTLV-1 molecular cloneをトランスフェクションし感染樹状細胞を作製する系の最適化も平行して行った。モデルマウスよりHTLV-1感染ヒト樹状細胞の分離を行った系では、ウイルス感染効率の高いマウスにおいては脾臓がリンパ球で占められており樹状細胞がほとんどなくなる一方で、樹状細胞の多いマウスは反対にウイルス感染効率が低く、いずれからも十分量のHTLV-1感染ヒト樹状細胞が得られなかった。よって現在は、接種するHTLV-1感染細胞株を変更することで、適度なウイルス感染率を示すマウスの作製を試みている状況である。HTLV-1 molecular cloneをトランスフェクションし感染樹状細胞を作製する系は確立しており、さらなる最適化を図っている。尚、HTLV-1の感染によってルシフェラーゼ活性を発現するT細胞株を作製し、樹状細胞のHTLV-1感染率が低い場合でもウイルス感染能が測定出来るようになったため、その成果を日本神経免疫学会にて発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
マウスモデルよりのHTLV-1感染ヒト樹状細胞の抽出は十分量の細胞が得られていないが、トランスフェクションによる代替手段により、研究目的の第一段階であるHTLV-1感染ヒト樹状細胞の作製については感染率10~20%とおおむね達成出来ている。第二段階であるHTLV-1感染ヒト樹状細胞からヒトT細胞へのHTLV-1感染は、より鋭敏にT細胞へのHTLV-1感染を評価できる新たな系が樹立され、安定して感染効率を評価することが可能となってきている。現在は、薬剤or 抗体による感染阻止実験への応用を図っている状況である。
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今後の研究の推進方策 |
NOG-SCIDマウスへヒト臍帯血由来造血幹細胞を移入し、ヒト化マウスを作製した後に、HTLV-1感染細胞株を接種することでHTLV-1を感染させ、そのマウス脾臓よりHTLV-1感染ヒト樹状細胞を分離する系は、新たに樹立したHTLV-1感染細胞株を使用することで系の最適化を図る。代替法による系は安定した感染効率を示すようになってきているので、引き続き系の最適化を図ると共に感染阻止実験へ応用する。
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次年度の研究費の使用計画 |
大学移転のため初年度(24年度)は動物実験を行えず代替実験のみだったので、動物実験に係る費用に未執行のものがあるため。 マウス購入・飼料・飼育費等に使用する。マウスへ移入するヒト造血幹細胞のヒト臍帯血からの分離のためと、ヒト化マウスよりのヒトCD4陽性T細胞及びヒト樹状細胞の分離のために、マイクロビーズ試薬(MACSカラム試薬)を購入する。HTLV-1感染の評価のためのプロウイルス定量用にPrimer及び蛍光標識Probe(TaqManプローブ)、及びPCR用試薬(NTPs, Taq polymerase, PCR Buffer Mix)を購入する。FACS解析用に抗ヒト及び抗マウス血球表面マーカー抗体(T細胞、樹状細胞用)を購入する。薬剤or抗体による感染阻止実験を行うので、必要に応じて感染阻止実験用の薬剤としてステロイド、IFNα、ビタミンC、カテキン、ラクトフェリン、ブロッキング抗体等を購入する。その他、学会発表(国内旅費)に10万円、論文校正・投稿料として10万円を要する。
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