平成24-25年度は当初の計画に基づき、①NOG-SCIDマウスへヒト臍帯血由来造血幹細胞を移入し、ヒト化マウスを作製した後に、HTLV-1産生細胞株を接種することで、マウス体内の血球細胞へHTLV-1を感染させ、そのマウス脾臓よりHTLV-1感染ヒト樹状細胞(HTLV-1-DCs)の抽出を行った。また、代案として、②ヒト臍帯血より単球を分離し、サイトカインを用いることで樹状細胞へ分化させ、分化した樹状細胞へHTLV-1 molecular cloneをトランスフェクションすることでHTLV-1-DCsを作製する系の樹立も行った。前者①の系では、ウイルス感染効率の高いマウスにおいては脾臓がリンパ球で占められており、樹状細胞がほとんどなくなる一方で、脾臓に樹状細胞の多いマウスは反対にウイルス感染効率が低く、いずれからも十分量のHTLV-1-DCsが得られなかった。よって平成26年度は、新たに作成したウイルス産生量のマイルドなHTLV-1産生細胞株を用いることで、適度なウイルス感染率を示すマウスの作製を試みたが、ウイルス感染効率のコントロールが困難であり、安定した量のHTLV-1-DCsが得られなかった。後者②の系では、最適化を図り比較的安定してHTLV-1-DCsを得られるようになったため、平成26年度は②の系を用いて実験の次のステップである、③HTLV-1-DCsからリンパ球系細胞へウイルスを感染させる系の樹立と最適化を図った。また、③の系の最適化と平行して実験の最終段階であるウイルス感染阻止実験も行い、その成果を日本神経学会学術大会及び日本神経感染症学会総会学術集会にて発表した。
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