研究課題
細胞膜の特殊陥入構造物であるカベオラを構成するカベオリンは、様々なシグナル分子と結合し活性を調整する足場蛋白質と考えられている。カベオリン-3は、その筋特異的アイソフォームで、欠損によって常染色体優生肢帯型筋ジストロフィー1C(LGMD1C)を発症する。われわれはLGMD1Cモデルマウス (CAV3P104L) を作出し、骨格筋が著明に萎縮し、筋細胞膜の神経型 NO 合成酵素(nNOS)活性が亢進することを発見した (Sunada, Hum Mol Genet 10, 173-178, 2001)。本研究は、このカベオリン-3欠損によるnNOS 活性亢進(脱抑制)が、筋萎縮病態に促進的に作用するのか、抑制的に作用するのか、その是非を問うた。まず、カベオリン-3欠損、及びnNOS欠損マウスを交配し、野生型、カベオリン-3欠損、カベオリン-3/nNOS二重欠損、nNOS欠損の4種類のマウスを作出した。二重欠損マウスでは、カベオリン-3欠損マウスより、骨格筋量が減少し、筋線維断面積・筋線維数減少が認められた。二重欠損マウス筋細胞膜及び骨格筋粗分画のnNOS活性は消失し、血管型NOS(eNOS)及び、誘導型NOS(iNOS)の代償性発現は認められなかった。すなわち、カベオリン-3欠損によるnNOS 活性亢進は、筋萎縮の発症に抑制的に作用する。nNOSとその上位制御分子カベオリン-3による骨格筋萎縮抑制のより詳細な分子機構解明のため、現在、骨格筋遺伝子発現解析に取り組んでいる。
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