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2014 年度 実施状況報告書

毒性オリゴマーを標的としたポリグルタミン病に対する分子標的治療薬の開発

研究課題

研究課題/領域番号 24591287
研究機関東京医科大学

研究代表者

ポピエル ヘレナ・明子  東京医科大学, 医学部, 助教 (40467593)

研究期間 (年度) 2012-04-01 – 2016-03-31
キーワード神経変性疾患 / ポリグルタミン病 / 治療薬開発 / オリゴマー
研究実績の概要

近年、アルツハイマー病やポリグルタミン(PolyQ)病など多くの神経変性疾患において、異常蛋白質の毒性オリゴマーが神経変性を引き起こすと考えられるようになった。本研究では、申請者が独自のPolyQ蛋白質オリゴマーアッセイを用いて同定した異常伸長PolyQ蛋白質オリゴマー阻害化合物の中で、既にショウジョウバエモデルに対する治療効果を確認している9化合物について、1)マウスにおける薬物動態を解析し、2)PolyQ病モデルマウスの神経症状に対する治療効果を明らかにし、さらに3)PolyQ病モデルマウスにおける異常伸長PolyQ蛋白質の蓄積に対する治療効果を確認し、PolyQ病に対する分子標的治療薬の開発を行う。
今年度も引き続き、上記9化合物の中でも血液脳関門透過性が高く、ヒトへの安全性も確認されている化合物QAI1に対するさらなる解析を行なった。QAI1の他の神経変性疾患に対する治療効果をin vivoで検討するため、アルツハイマー病のモデルマウスにQAI1を経口投与し、定期的に脳切片をThioS染色し、脳ライセートをELISA法を用いて解析することにより、A-beta蛋白質の蓄積を検討した。しかしながら、アルツハイマー病モデルマウスに対するQAI1の治療効果は確認できなかった。また、PolyQ病の中で世界的に最も患者数の多いSCA3のモデルマウスに対するQAI1の治療効果を検討するためノックインマウスを作製し、このマウスの行動学的、組織学的症状の基礎データの収集を行なった。その結果、SCA3マウスは発症や進行が非常に遅く、緩やかであることが明らかとなった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

今年度は、世界的に最も患者数の多いPolyQ病であるSCA3のモデルマウスに対するQAI1の治療効果の検討の前段階として、このマウスの基礎データ収集を行なった。今後実際に臨床試験によりPolyQ病患者に対するQAI1の治療効果を検討する場合には、日本でも最も患者数が多いSCA3の患者を用いることになる。従ってSCA3マウスの基礎データとこのマウスにQAI1を投与した際の治療効果のデータは臨床応用に向けて非常に重要なデータであると考えられる。さらに根本的治療法のない他の神経変性疾患に対する応用の可能性を検討するため、QAI1をアルツハイマー病モデルマウスに投与しその治療効果を検討したことは、結果はネガティブであったものの、非常に有用な情報であると考えられる。

今後の研究の推進方策

今後はまずSCA3マウスの行動学的および組織学的症状の基礎データ収集を終了する。その後、このモデルに対する治療効果を検討する。具体的には、SCA3マウスにQAI1を経口投与し、ロータロッドテストや自発運動解析を用いて神経症状に対する効果の検討、さらに脳切片を作製し、免疫染色により異常蛋白質の蓄積や神経変性などの組織学的変化に対する効果を検討する。

次年度使用額が生じた理由

今年度は、我々が製作したSCA3マウスの基礎データをとり、それをもとにSCA3マウスに対するポリグルタミン凝集阻害化合物(QAI1)の治療効果を検討する予定であった。しかしSCA3マウスは期待より発症が遅く進行度が遅かった。そのためSCA3マウスにQAI1を投与して治療効果を検討する実験の予定が遅くなり、今年度は予定よりQAI1や、解析に必要な試薬の必要量が少なくなった。

次年度使用額の使用計画

SCA3マウスに対するQAI1の治療効果の検討を行うため、QAI1、および組織学的、生化学的解析に必要な抗体やキットなどの試薬を購入する。さらにマウスのラインの維持に必要な野生型マウスを購入する。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2015

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件、 謝辞記載あり 1件)

  • [雑誌論文] p62 plays a protective role in the autophagic degradation of polyglutamine protein oligomers in polyglutamine disease model flies2015

    • 著者名/発表者名
      Saitoh Y, Fujikake N, Okamoto Y, Popiel HA, Hatanaka Y, Ueyama M, Suzuki M, Gaumer S, Murata M, Wada K, Nagai Y
    • 雑誌名

      Journal of Biological Chemistry

      巻: 290 ページ: 1442-1445

    • DOI

      10.1074/jbc.M114.590281

    • 査読あり / オープンアクセス / 謝辞記載あり

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公開日: 2016-05-27  

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