研究課題
多系統萎縮症(MSA)の消化管神経叢におけるシヌクレイノパチー病理を検索するため、MSA3例(剖検例)の食道、胃、十二指腸、小腸、大腸の剖検標本を用いてリン酸化アルファシヌクレイン染色を行ったが、陽性を示す構造物は発見できなかった。また、腸管ニューロンの脱落・減少の検討を試みたが、壁内に網状に存在する消化管神経叢のニューロン数を連続切片で評価することは困難であった。次に、腸管ニューロンの萎縮を検討するため、同じくMSA3例の剖検標本を用い、小腸の4 μm厚のスライスにペリフェリン免疫染色を施し、核小体を有する腸管ニューロンにおいてペリフェリン陽性の胞体面積と核の断面積を画像解析ソフト(cellSens Ver. 1.6)にて解析した。疾患コントロールとして年齢を合わせた筋萎縮性側索硬化症(ALS)2例と中枢神経疾患を有しないコントロール3例を用いた。計測し得た筋層間神経叢の腸管ニューロン数は、MSA3例で149個、ALS2例で77個、コントロール3例で131個であった。MSAにおける筋層間神経叢の腸管ニューロンの計測結果は、胞体面積が115.9±4.8 μm2、核面積が50.0±1.6 μm2であり、 ALSの胞体面積の263.6±13.6 μm2 (P<0.0001)と核面積の70.3±3.5 μm2 (P<0.0001)、ならびにコントロールの胞体面積の255.7±10.6 μm2 (P<0.0001)と核面積の76.3±2.6 μm2 (P<0.0001)と比して明らかに小さい結果となった(データの表示は平均値±標準誤差)。粘膜下神経叢の腸管ニューロンついても同様の検討を行ったが、これについてはMSAとALSならびにコントロールとの間で有意な差は見られなかった。これらの結果から、MSAの消化管神経叢ではシヌクレイノパチー病理は明らかではなかったものの、腸管ニューロンは筋層間神経叢において萎縮を示している可能性が提起された。この結果は、MSAの消化管機能障害に関与する病態の一端を示しているものと考えられる。
すべて 2014
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Nutritional Neuroscience.
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http://dx.doi.org/10.1179/1476830514Y.0000000161
Journal of the Neurological Sciences
巻: 347 ページ: 349-51
10.1016/j.jns.2014.09.045.