研究課題/領域番号 |
24591293
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
渡辺 宏久 名古屋大学, 医学部附属病院, 講師 (10378177)
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研究分担者 |
伊藤 瑞規 名古屋大学, 医学(系)研究科(研究院), 特任助教 (50437042)
千田 譲 名古屋大学, 医学部附属病院, 医員 (80569781)
中村 友彦 名古屋大学, 医学部附属病院, 助教 (00437039)
平山 正昭 名古屋大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (30283435)
祖父江 元 名古屋大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (20148315)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | パーキンソン病 / 抗コリンエステラーゼ阻害剤 / 認知機能 / functional MRI / magnetoencephalography |
研究概要 |
パーキンソン病の長期例において高率に認知症を示すことは良く知られているが、近年の研究の進歩に伴い、臨床的に認知症を呈する前から視覚認知機能障害、遂行機能障害、日中の過度の眠気、幻視、高度嗅覚低下などを認めることが明らかとなった。特に視覚認知機能障害や遂行機能障害は早期から認められるものの治療介入は行われていない。今回、早期パーキンソン病で認める精神症状に対する抗コリンエステラーゼ阻害剤の改善効果について、特異的臨床指標、resting functional MRI (rfMRI) とmagnetoencephalography (MEG) を用いて評価するとともに、改善機序を明らかにする。さらに、経時的にrfMRIとMEGを実施することにより、早期に抗コリンエステラーゼ阻害剤を投与することが、アセチルコリン系神経細胞脱落に伴う神経回路網のダイナミックな変化を予防し、その予防効果が継続するか否かも評価する。 平成24年度は予備的研究として、幻視のあるパーキンソン病と幻視の無いパーキンソン病における大脳萎縮の違いについて、voxel based morphometryの手法を用いて検討した。認知症を呈していない症例でも幻視を呈するパーキンソン病では大脳の広範な萎縮を後頭葉、後頭頭頂葉、側頭葉下面、前頭前野などに認め、従来推定されている幻覚発症機序に合致するものであり、同仮説を支持するものであった。現在投稿中である。また、日中の眠気のあるパーキンソン病では、覚醒系に病変が進展していることが示され、パーキンソン病の日中の過度の眠気は、薬剤性よりも内因性の要因が高いと考えられた。さらに、より早期の高次脳機能障害症例に対する治療介入と、その効果判定をresting functional MRIなどで行う研究について、名古屋大学倫理委員会の承認を得た。平成25年度は登録を推進している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
パーキンソン病では認知症を呈する前に、視覚認知機能障害、遂行機能障害、日中の過度の眠気、幻視、高度嗅覚低下などを認めることが明らかとなってきているが、この中で、日中の過度の眠気、幻視の病態について、VBM画像を用いて、その病態を推定出来た。さらに、resting functional MRI手法を確立し、予備的研究も24年度に行い、倫理委員会の承認も得て症例登録を開始している。まだ、介入段階まで進んでいないが、当初の予定通りの速度で研究は進んでおり、本年度中には、視覚認知機能障害、遂行機能障害、高度嗅覚低下の病態をVBMやrfMRIで検討した結果を示すことが出来、来年度は、コリンエステラーゼ阻害剤による介入結果を示すことが出来る予定である。
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今後の研究の推進方策 |
平成25年度は、幻覚も眠気も呈さず、視覚認知機能障害と遂行機能障害を認めるパーキンソン病に対する抗コリンエステラーゼ阻害剤の有用性の検討を行う。投与量はアルツハイマー病に準拠し、外来にて副作用の出現の有無を慎重に評価する。その後、臨床評価、高次脳機能評価、画像評価を3ヶ月後、6ヶ月後、12ヶ月後に実施し、抗コリンエステラーゼ阻害剤の効果を判定するとともに、画像を用い、神経回路網の変化、効果の持続の有無を評価する。
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次年度の研究費の使用計画 |
統計解析ソフトなど
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