研究課題/領域番号 |
24591293
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
渡辺 宏久 名古屋大学, 医学(系)研究科(研究院), 特任教授 (10378177)
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研究分担者 |
伊藤 瑞規 名古屋大学, 医学(系)研究科(研究院), 特任助教 (50437042)
千田 譲 名古屋大学, 医学部附属病院, 医員 (80569781)
中村 友彦 名古屋大学, 医学部附属病院, 助教 (00437039)
平山 正昭 名古屋大学, 医学系研究科, 准教授 (30283435)
祖父江 元 名古屋大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (20148315)
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キーワード | パーキンソン病 / 認知症 / 幻覚 / MRI / 脳内神経回路 / 予防 |
研究概要 |
パーキンソン病 において幻視や認知症は、予後不良因子であり、QOLの低下や、家族への負担増などの点から対応すべき最も重要な症状である。幻視は薬剤の影響が大きいと考えられていたが、最近の報告では、薬剤よりもPDの進行そのものが影響していると考えられている。まず我々はこの事実を示すため、頭部MRI脳容積画像を用い、認知症の基準を満たさない幻視を呈するPDと、認知症も幻視も呈さず、主要な非運動症状の重症度が一致したPDを比較し、幻視のあるPDでは、後頭葉一次・二次視覚野、背外側前頭前野、前部帯状回、紡錘状回、前頭前野など、近年の幻視出現仮説を支持する部位に萎縮の出現することを示した。本研究はMovement Disorders Societyの年次集会で報告するとともに、雑誌Movement Disordersに報告した。今回の検討で萎縮を認めた部位は視覚認知機能障害や遂行機能障害と密接に関連しているため、同機能の低下は、将来的な幻視や認知症の発現にも影響することが想定される。現在は、視覚認知機能障害や遂行機能障害のある症例について、嗅覚低下症例および、幻視の出ている症例を比較しつつ、安静時脳機能MRI、拡散MRIなどを用い、脳内神経回路画像を行うことで、それぞれの病態を解析するとともに、コリンエステラーゼ阻害剤が神経回路に及ぼす影響を確認している。さらに早期に抗コリンエステラーゼ阻害剤を投与することが、アセチルコリン系神経細胞脱落に伴う神経回路網のダイナミックな変化を予防し、その予防効果が継続するか否かも前方向的に評価している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
症例登録とMRIの撮影は名古屋大学脳とこころの研究センターにおいて順調に進んでおり、幻視の病態についてもMRI脳容積画像の解析により検討出来たため。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き、患者の登録、MRIの撮影を進めて行く。コネクトーム解析は、拡散テンソル画像を用いて解剖学的結合を評価するとともに、安静時脳機能MRIを用いて機能的結合を評価していく。パーキンソン病の遂行機能、視覚認知機能、幻視などにかかわる神経回路の同定を目指すとともに、コリンエステラーゼ阻害薬の有用性も併せて検証していく。
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