研究課題
今回、我々は、認知症はなく幻視を呈するPD13例と、認知症も幻視を呈しないPD13例との脳容積画像を比較検討した。両群は出来る限り非運動症状も一致させることで、出来る限り幻視と関連の強い萎縮領域を見出すことを目的とした。パーキンソン病において幻視の出現する症例において特異的に萎縮する領域を見出した。本領域は、従来の脳容積画像の報告に比べ、これまで脳機能MRIやPETで異常を報告されていた複数の結果と良く一致した。これは、症例選択の過程で、他の非運動機能異常の影響を極力一致させたことが原因と考えられる。PDの幻視は、機能的異常や薬剤性の要因が考えられていたが、特定の脳領域の解剖学的な萎縮が発現に関連していると考えられた。PDにおいて重度嗅覚低下が認知機能低下と関連することは知られているが、その特徴や機序は明らかにされていない。このため、認知機能低下を認めないPD患者のうち、重度嗅覚低下(OSIT-Jで3点以下)を認める(PD-OD(+)群)15例と重度嗅覚低下を認めない(PD-OD(-)群、(OSIT-Jで6点以上))15例を、安静時脳機能MRIを用い、健常者(Cont群)15例を対象として、3.0T MRIを用い、脳容積画像にて灰白質と白質の萎縮、Tract based spatial statistics (TBSS) にて白質線維走行を評価した。PD-OD(+)群では脳容積画像における軽微な萎縮を認め、独立成分分析では、デフォルトモードネットワークなどの安静時脳機能ネットワークで軽微な異常をCont群に比して認めた。TBSSでは明らかな異常を認めなかった。一方、Seed based analysisでは、PD-OD(-)群よりPD-OD(+)群の方が、扁桃体の中心内側、基底外側、表層部の全てにおいて、大脳皮質とのネットワークが広範かつ高度に障害されていることを見出した。
すべて 2015 2014
すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 5件)
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