研究課題/領域番号 |
24591294
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
別宮 豪一 大阪大学, 医学部附属病院, 医員 (20626353)
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研究分担者 |
隅 寿恵 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (30403059)
望月 秀樹 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (90230044)
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キーワード | 神経筋疾患 / 神経病理 / カルシウム非依存性フォスフォリパーゼA2β / NBIA / SH-SY5Y細胞 |
研究概要 |
カルシウム非依存性フォスフォリパーゼA2β(iPLA2β)をコードするPLA2G6遺伝子の変異により、中枢神経に鉄沈着を伴う神経変性疾患であるNeurodegeneration with brain iron accumulation (NBIA type2)が惹起されることが知られている。我々は、PLA2G6遺伝子欠損マウスの脳を解析することにより、1年齢以降の欠損マウスでは主に錐体外路系に鉄沈着が見られることを発見した。 今回我々は、iPLA2β欠損マウスに対して、神経毒であるMPTP(1-methyl-4-phenyl-1,2,3,6-tetrahydropyridine)の投与を行った。今後、解析を進める。さらに、ヒト神経芽細胞種由来のSH-SY5Y細胞を用い、PLA2G6遺伝子をノックダウンした系を確立した。PLA2G6遺伝子をノックダウンすると、24時間以降、細胞死が起こる。またPLA2G6遺伝子のノックダウンにより、ミトコンドリア内膜に存在するシトクロムcオキシダーゼ(CCO)の活性低下が見られることが、免疫染色およびウェスタンブロットで明らかとなった。同時に、PLA2G6遺伝子のノックダウンにより、ミトコンドリアにおけるATP(アデノシン三リン酸)の産生が低下することも分かった。ミトコンドリアの機能異常およびATPの産生低下が細胞内鉄代謝に大きく影響することが知られており、この系を確立することにより、ミトコンドリアを介した鉄代謝因子の解析に非常に有用であると考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
iPLA2β欠損マウスに対する、神経毒であるMPTP(1-methyl-4-phenyl-1,2,3,6-tetrahydropyridine)の第1回目の投与は行うことができた。ただし、その後、iPLA2β欠損マウスがなかなか産まれず、解析を行えるだけの数が準備できなかった点において、やや遅れていると言わざるを得ない。一方で、PLA2G6遺伝子をノックダウンした培養細胞の確立は順調に終わり、これから解析を行える状態にある。
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今後の研究の推進方策 |
iPLA2β欠損マウス、およびこのマウスにMPTPを投与したもの、加えてPLA2G6遺伝子をノックダウンしたヒト神経培養細胞を用い、鉄関連因子の動態を解析する。特にミトコンドリア内膜の変性との関連を調べる。
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次年度の研究費の使用計画 |
当該年度に必要な物品の購入が完了したため。 次年度に必要な物品を購入する。
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