研究課題/領域番号 |
24591297
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 香川大学 |
研究代表者 |
出口 一志 香川大学, 医学部, 准教授 (80263896)
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研究分担者 |
池田 和代 香川大学, 医学部, 客員助教 (30592315)
唐木 将行 香川大学, 医学部附属病院, 講師 (50294757)
峠 哲男 香川大学, 医学部, 教授 (80197839)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | パーキンソン病 / 多系統萎縮症 / 電流知覚閾値 / 感覚障害 / 近赤外線分光法 / 嗅覚 |
研究概要 |
<目的>パーキンソン病(PD)の病変は嗅神経や末梢自律神経から始まるとされるので、これらの部位の評価はPD早期診断に有用である可能性がある。評価方法として近赤外線分光法(NIRS)および電流知覚閾値(CPT)を用い、それらの有用性を検討する。 <研究実施計画>PDおよび健常者を対象にNIRSおよびCPTを行う。パーキンソニズムを呈する疾患は対象に含める。 <進行状況>PD28例、多系統萎縮症(MSA)20例、健常者(C)28例を対象としたCPTの評価を行った。その結果、CPTは3群間で有意な差を認めた。PD群はC群と比べ、2000Hz、250Hz、5Hz刺激に対するCPTが有意に高値を示した。またPD群はMSA群と比べ、250Hz、5Hz刺激に対するCPTが有意に高値を示した。ROC解析を行ったところ、とくに5Hz刺激に対するCPTが感度、特異度ともに良好であった。MSA群とC群にはCPTの有意差はなかった。嗅覚の評価はこれらの症例の一部で検討されたが、まだ例数が少ないため、十分な解析には至っていない。 <意義>2000Hz刺激はAβ線維(大径有髄線維)、250Hz刺激はAδ線維(小径有髄線維)、5Hz刺激はC線維(小径無髄線維)の知覚閾値を反映するとされている。PDでは皮膚生検で無髄線維やマイスナー小体の減少、レヴィー小体の出現が確認されており、今回のPDにおけるCPT異常は組織所見と矛盾しない結果であった。またMSAでは皮膚の神経線維脱落は認められないが、MSAのCPTがC群と有意差を示さなかったことと矛盾しない。CPTがPDとMSA間において有意差を示したことから、CPTによってPDとMSAをある程度鑑別できる可能性が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
CPTに関しては当初の予定を達成できており、現時点での結果を学会発表(第54回日本神経学会学術大会)および論文投稿予定である。一方、NIRSに関しては対象者、検査者の都合や機器の不具合などにより、結果の解析を行うだけの十分な症例数に達していない。
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今後の研究の推進方策 |
<CPT> PDおよびMSAの症例数を増やすことで、現在までに得られた知見の確認を行っていく。とくに発症早期の例の検討に重点を置き、PD早期のCPT異常について評価を行う。これによりPDの早期診断マーカーとしてのCPTの可能性について検討する。また、パーキンソニズムを呈する他の疾患も評価の対象に加え、PDにおけるCPT異常の特異性について明らかにする。 <NIRS> 検討された症例が未だに少ないため、可能な限り症例数を増やしていく。今後、CPTの新規検討例は発症早期例に重点を置くため、NIRS検討例も同様に早期例を対象として検討する。
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次年度の研究費の使用計画 |
<CPT検査用>金メッキ電極などの消耗品の購入など <NIRS検査用>嗅覚検査用試薬などの消耗品の購入、近赤外線ファイバーの交換費用など <学会出張>日本神経学会学術大会、Movement Disoreder Society Japan (MDSJ)
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