研究課題/領域番号 |
24591298
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 久留米大学 |
研究代表者 |
山下 謙一郎 久留米大学, 医学部, 助教 (00596687)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 機能的MRI / アルツハイマー病 / 軽度認知障害 / Default Mode Network |
研究概要 |
本研究は、軽度認知障害(MCI)患者において安静時と認知課題施行時の機能的MRI撮像を同時に行い、アルツハイマー病(AD)へ移行するMCI患者のDefault Mode Network(DMN) の機能不全の特徴を明らかにすることを目的としている。H24年度は準備段階として以下 の3つの工程を行った。1)安静時機能的MRI撮像:少数のMCI患者において安静時の機能的MRI撮像を行い、MRIパラメータの最適化および解析ソフトによる脳領域間の機能的結合の時間変化の解析を施行した。2)周辺機器整備:視覚刺激提示下での機能的MRI撮像を行うため、MRIのパルスジェネーターと視覚提示用のPC間を連結するケーブル、課題応答用のボタンスイッチを購入した。現在MRI本体と操作室間にケーブルを通す導波管を作成しており、完成次第周辺機器との接続を行う予定である。3)対象患者選定:患者さんに本研究へ協力して頂くため、久留米大学倫理委員会へ本研究の審査を依頼し承認を受けた。これを受け久留米大学病院もの忘れ外来を受診した患者さんのうち、MCIおよび初期ADの患者さんに説明し、周辺機器整備完了後の研究への協力を依頼した。H25年度は機器接続を完成させるとともに、少数の健常者での動作実験を行う。その後MCI・AD患者での視覚刺激施行時・安静時の機能的MRI同時撮像の予備実験を行う。AD患者において、視覚刺激時の活動とDMNとの機能的結合が障害されているようであれば、MCI患者を経時観察しAD移行群と非移行群での視覚刺激時の活動とDMNとの機能的結合の変化を観察する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
H24年度は本実験の準備段階としての周辺設備の整備を主に行った。当施設のMRIではこれまで視覚刺激提示下でのMRI撮像を施行したことがないため、担当部署との調整・機器購入・配線の確認などを調整した。また患者さんに協力頂く研究であるため、臨床研究の倫理委員会での審査、患者さんの選定など実験に入る前の調整も行った。
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今後の研究の推進方策 |
H25年度は、視覚刺激提示装置をMRI装置本体に接続し、刺激に対する反応を記録するボタンスイッチも接続する。MRIのRFパルスと同期した刺激提示ができれば、まず少数の健常人での動作実験を行う。その後MCI・AD患者での予備実験として視覚刺激時と安静時での機能的MRI撮像を行い、視覚刺激時の活動領域とDMNとの機能的結合を計算する。MCI患者に比較してAD患者で結合の減弱があれば、本実験として多数のMCI患者での視覚刺激時と安静時での機能的MRI撮像を経時的に反復する。MCI患者のうちAD移行群と非移行群での、刺激に対する活動領域とDMNとの機能的結合の差および時間的変化を解析する。これによりADへ移行する恐れのあるMCI患者の視覚刺激への反応とDMNとの結合の変化をより早期から確認することができるようになると期待される。
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次年度の研究費の使用計画 |
H25年度は周辺機器整備は終了しているため物品費は計上していない。主な予算として予備実験での成果を学会で発表するための旅費、論文の投稿・別刷り費用、MRI動作実験を行う際に協力頂く被験者へ支払う人件費、通信費などを計上している。
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