研究課題/領域番号 |
24591304
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 順天堂大学 |
研究代表者 |
下 泰司 順天堂大学, 医学部, 准教授 (70286714)
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研究分担者 |
大山 彦光 順天堂大学, 医学部, 助教 (00407256)
吉見 建二 順天堂大学, 医学部, 准教授 (40459136)
服部 信孝 順天堂大学, 医学部, 教授 (80218510)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | パーキンソン病 |
研究概要 |
本年度は、サルを用いた電気生理学的実験の開始のため、細胞外電位記録及び刺激のための機器、記録機械、電極の作成をまず行い、その後動物実験を開始した。まず安定した細胞外電位記録を行うためにサルに定位脳手術を行い頭部にチャンバーを取り付けた。術後、動物の状態が安定したところで(約2週間)記録部位となる線条体(被殻)及び刺激部位となる視床下核(STN)の同定を細胞外電位を記録することにより行った。各部位を同定後、ユニークメディカル社製の刺激電極を挿入し、まず被殻の介在ニューロンであるtonically active neuron の細胞外電位を刺激前、中、後にて記録し、STN刺激における線条体ニューロンの活動の影響を観察した。その結果、刺激頻度130Hz 、電気刺激60μSの条件下では、刺激強度を強めると、より介在ニューロンの活動が抑制されることが判明した。介在ニューロンはアセチルコリン産生ニューロンであり、視床下核の刺激によりその活動が抑制されることは、パーキンソン病の薬物治療として、抗アセチルコリン剤が使用され効果があることと矛盾せず、STN脳深部刺激療法の新しい効果発現機序の一つとして考えられる。さらに、in vivo voltammetry 法を用いて、同刺激条件下における線条体ドパミン濃度の変化を記録したところ、ドパミン濃度の上昇を認めた。このドパミン濃度の変化が介在ニューロンの抑制に関与しているか否かを確かめるために、ドパミンD2 受容体拮抗薬を投与しながら同時に介在ニューロン活動を記録するための装置を現在は作成している。また、同刺激条件における淡蒼球外節の細胞外電位記録も行っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
サルを使用した神経細胞外電位の安定した記録を可能とし、それを記録するためのシステムの構築を行った。パーキンソン病に対しての脳深部刺激術と同様の刺激電極及び刺激方法を用いてその効果の発現機序の解析を行っており、研究目的(最適な刺激条件の探索、刺激効果の発現機序の解明)に沿った実験を行っている。
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今後の研究の推進方策 |
正常サルにおけるSTN刺激におけるドパミンの反応、線条体ニューロン、淡蒼球ニューロンの反応をさまざまなパラメータで記録した。次年度以降はパーキンソン病モデルサルを作成し、パーキンソン病態下におけるSTN刺激に対する反応を記録し、さらに抗パーキンソン剤投与下における反応を記録することにより、より実際の治療に近づけた状態における脳深部刺激療法の効果発現機序及び最適な刺激パラメーターの探索を行う。
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次年度の研究費の使用計画 |
実験動物および薬剤、解析のためのコンピュータ及びプログラムの購入を予定しています。
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