研究課題/領域番号 |
24591307
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | (財)額田医学生物学研究所 |
研究代表者 |
額田 均 (財)額田医学生物学研究所, その他部局等, その他 (60118833)
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研究分担者 |
八木橋 操六 弘前大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (40111231)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 末梢神経障害 / 高血圧 / 糖尿病 / 細小血管症 |
研究概要 |
1. 研究目的:平成24年度は、高血圧および糖尿病の動物モデルを用い、高血圧と末梢神経障害、また高血圧が糖尿病性末梢神経障害に与えるインパクトについて検討した。 2. 実施研究:課題1高血圧と末梢神経障害、1-1) 高血圧自然発症ラット(SHR)の長期観察による末梢神経の変化、および1-2) 糖尿病合併SHRの末梢神経障害について、電気生理学的・病理学的に検討した。 3. 結果:本年度の研究から以下の点が明らかになった。(1) SHR後肢の運動(坐骨・脛骨)および感覚(腓腹)神経伝導速度:16週齢でSHR群に遅れがあるが対照群と比し有意差は認めない。28、44週齢SHR群では運動・感覚神経伝導速度ともに対照群に比し有意な遅延を認める。(2) SHRの坐骨・脛骨および腓腹神経の形態学的検討:SHR末梢神経に、髄鞘内浮腫、髄鞘内包化、神経内鞘浮腫、神経内鞘細小血管の血管壁肥厚などを認めた。軸索萎縮を示唆する有髄神経線維数は定量的にSHR群に有意に増加している。(3) SHR末梢神経における細小血管症:光顕にて見られた血管壁の肥厚については、電顕で基底膜の多層化が認められた。この基底膜多層化は28週齢で軽度認め、44週齢では著明な重層化が見られた。(4)糖尿病合併SHRの末梢神経では、糖尿病を合併しないSHRに比しより高度な病理学的変化が観察された。 4.結論:(1)高血圧が末梢神経障害を惹起することが明らかになり、高血圧の臓器障害には末梢神経も含まれる。(2)また高血圧は末梢神経の細小血管症を起こす。 5. 意義・重要性: (1) 高血圧は末梢神経障害発症のリスクファクターであり、コントロール不良な高血圧患者では末梢神経障害を認める可能性がある。(2)糖尿病性末梢神経障害の神経内鞘細小血管症の発症には,合併する高血圧が関与している可能性がある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
交付申請書: II. 研究期間内に何をどこまで明らかにしようとするのか 1. 高血圧による末梢神経障害と糖尿病性神経障害へのインパクト SHRの長期フォローアップにより高血圧による末梢神経障害の存在を追究する。電気生理学的・病理学的(光顕・電顕、免疫染色、形態計測を含む)・分子生物学的(RT-PCR、血管内皮細胞機能を含む)検討を加え、高血圧による末梢神経障害について明らかにする。さらに、SHRに2型糖尿病を発症させた高血圧・糖尿病合併群について、高血圧または糖尿病のみの各群と同じ方法を用いて比較検討し、糖尿病性神経障害発症・進展の危険因子としての高血圧の影響を明らかにする。 以上の交付申請書に述べた点について、本年度は、電気生理学的および病理学的検討を行った。次年度には電気生理・形態学的検討の続きと、さらに分子生物学的検討を行う予定である。また本年度は、糖尿病合併群についても電気生理学的・病理学的検討を行った。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、本年度遂行した電気生理学的および病理学的検討を続ける。さらに、電気生理学的・病理学的検討に加えて、高血圧性末梢神経障害の発症機序解明をめざし、マイクロアレイを含めた分子生物学的検討を行う。また、降圧剤の末梢神経障害に対する効果についても検討をすすめる。研究計画についての変更はない。また研究を遂行する上での課題等も特にない。
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次年度の研究費の使用計画 |
該当なし
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