研究課題
慢性腎臓病(Chronic Kidney Disease: CKD)をもつ患者は冠動脈疾患の発症率が高く、この関係は心腎連関という言葉で表現される。しかしながら心臓と腎臓といった二つの異なった臓器障害が結びつく機序に関してはまだ十分には明らかとなっていない。 我々は、CKD の主座である糸球体、特に糸球体構成細胞の一つであるポドサイトと心臓の冠動脈内皮細胞に限局して発現している遺伝子としてSemaphroin3g (Sema3g)を同定した。このSema3g の機能解析を通した心腎連関の発症機序解明が本研究の目的である。今年度も昨年度に引き続き、Sema3gノックアウト (Sema3g KO)の腎機能に焦点をあてて検討を行った。その結果 ① Sema3gKOマウス糸球体ではポドサイトの細胞形態が変化すること。② Sema3gKOマウスに糖尿病やリポポリサッカライド(LPS)を用いて炎症刺激などを加えると腎障害が野生型に比し増悪すること。③ Sema3gKOから樹立したポドサイトは野生型から樹立したポドサイトに比し、LPS刺激によるMCP-1やIL-6といった炎症性サイトカインの分泌が亢進することなどを明らかにした。以上の結果はポドサイトから分泌されるSema3gは糸球体の恒常性維持や抗炎症作用に重要であることを示唆している。 さらにSema3gの腎臓における機能に関して検討を進めてゆく目的でSema3gリコンビナント蛋白にも着手し成功した。今後はSema3gKOやSema3gリコンビナント蛋白を用いてポドサイトに加えて血管内皮細胞に対する解析も進めてゆく予定である。
2: おおむね順調に進展している
おおむね計画に則って行っている。
平成26年度はSema3Gの細胞内シグナルに焦点をあてて検討を進めてゆく予定である。平成25年度にはこの研究の推進に必須であるSema3Gのリコンビナント蛋白作成に成功しており、今後は作成したリコンビナント蛋白を用いて、Sema3G受容体の同定や培養ポドサイトに対する生物学的な作用を明らかにしてゆきたい。
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