研究課題/領域番号 |
24591319
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 山梨大学 |
研究代表者 |
小林 哲郎 山梨大学, 医学工学総合研究部, 教授 (30113442)
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研究分担者 |
會田 薫 山梨大学, 医学部附属病院, 講師 (50184015)
一條 昌志 山梨大学, 医学部附属病院, 医員 (50436854)
滝澤 壮一 山梨大学, 医学工学総合研究部, 助教 (80456467)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | Type 1 diabetes / Innate immunity / ER stress |
研究概要 |
CD28KOマウスに種々のチャレンジを行う予備実験として、MIN6細胞においてインターフェロン(IFN)-α、β、γ、IL-12、IL-18、TNFα、IL-1βさらにはPoly(I:C)などのサイトカイン、RNAウィルスホモローグのIFN-γの発現につき影響を検討した。(IFN-γは既に我々が劇症1型糖尿病でβ細胞に発現していることを報告している。Diabetes:61:884-9,2011)各種濃度のサイトカインを添加し、24時間後にRT-PCRによりIFN-γの発現をみたが、有意な変化は見られなかった。また、PolyI:Cを100μg/ml培地に添加もしくは、transfectしても有意なIFN-γの変化はMIN6細胞に見られなかった。そこで、virusの直接的な影響でなく、他のβ細胞障害経路であるERストレスに着目し、以下の実験を行った。ERストレス誘発物質であるTunicamycin(TU)、Thapsigardin(TH)、Palmitate(PA)を培養液に添加し、24時間後のIFN-γの変化をRT-PCRでみた。その結果、TU、TH、PAいずれも用量依存的にMIN6にIFN-γが増加した。Western blottingによっても蛋白レベルでのIFN-γの増加、ERストレスマーカーのBipの増加が認められた。これらの成績は、virus感染がβ細胞のERストレスを惹起してβ細胞にIFN-γさらにはapoptosisを起こす経路の存在を示唆している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今回明らかになったERストレスのβ細胞でのIFN-γの発現は種々の環境下においておこるため、SPIDDMを含む1型糖尿病の原因としてvirus感染症に加えてきわめて興味ある機序であり、今後このvirus感染症とERストレスとの関係を含めカスケードの詳細な検討を行い、モデル動物、ヒト組織での検討を行う重要な知見となるため。(なお、一部の成果は平成25年5月の日本糖尿病学会総会で発表予定である。)
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今後の研究の推進方策 |
次年度は、ERストレスのβ細胞障害の経路をより明らかにするため、JNK経路、P38経路、mek1,2経路のinhibitorを使用して検討を進めたい。また、β細胞にIFN-γが発現する際のapotosisの発生が起こる機序を明らかにするためERストレスを与える各種刺激下でIFN-γ発現をsiRNAにより knock down し、その効果(IFN-γによるapoptosisの阻害)をみる。その結果によりvirus感染症→ERストレス→IFN-γのβ細胞内発現→apoptosisの経路が明らかになることが期待される。得られた成績は欧文紙に発表していく予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
該当なし
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