研究課題
まずヒト緩徐進行1型糖尿病膵の特徴を剖検例でみたところ、外分泌腺主体のCD8+T細胞およびCD68+マクロファージの浸潤を認め、膵外分泌腺組織の著明な萎縮がみられた。50%の症例で膵管の上皮細胞にIPMN様のhyperplasiaと膵管閉塞がみられた。β細胞の再生に関係するREGIαの発現も亢進していた。(2015年日本糖尿病学会シンポジウム発表)次に、モデル動物を作成するため、CD28 knock-out NODマウスにpoly I:Cの少量投与やhyperplasia再現を目的にZein-oleic acid-linoleic acids(ZOAL)の膵管内逆行性注入などを行った。poly I:C投与実験では膵外分泌腺の軽度の炎症を起こすことに成功したが、糖尿病の発症促進には至らなかった。一方、ZOAL注入CD28 knock-outマウスでは広汎な外分泌腺の炎症と膵島炎の増強、糖尿病の発症促進を認めた。結論と成果1.CD28 knoc-out NOD マウスにZOAL注入を行い、緩徐進行1型糖尿病に類似した膵病変の作成に成功した、(論文発表予定)2.緩徐進行1型糖尿病、劇症1型糖尿病のヒト膵病変を検討する過程で膵島に直接接し、REGIαの分泌する新たな細胞群(Acinal-like cell touching with Langerhans' islet with thin interstitial surroundings: ATLANTIS)を発見し、その膵島再生に果たす役割を報告した。(Aida K et al. PLOS ONE, 9:e95110, 2014).3.劇症1型糖尿病でのみ発現する38種の炎症、β細胞再生に関係する蛋白をプロテオミックス解析により同定できた。(Nishida Y et al. PLOS ONE, 9:e107664, 2014).
すべて 2015 2014
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 2件、 謝辞記載あり 2件) 学会発表 (3件)
PLOS ONE
巻: 9(4) ページ: e95110
no
巻: 9 ページ: e107664