研究課題/領域番号 |
24591323
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 滋賀医科大学 |
研究代表者 |
荒木 信一 滋賀医科大学, 医学部, 助教 (80378455)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 血小板活性 / アルブミン尿 / アスピリン |
研究概要 |
本研究は、糖尿病患者の心血管合併症の発症阻止を目指した新たな治療戦略を構築するため、本研究者らが断面研究の成績として既に報告した2型糖尿病患者のアルブミン尿増加に伴い亢進が認められる早期血小板活性異常に着目し、早期血小板活性化異常が心血管イベントの発症リスクである可能性を縦断研究により検証すること、さらに、長期アスピリン服薬下においても充分に早期血小板活性を抑制できていない症例(アスピリン不応性症例)に対して、アスピリンから他の抗血小板薬の変更が早期血小板活性の抑制に有効であるのかを検証することを目的としている。早期血小板活性化指標としては、従来の方法では測定が困難であった自然誘発微小血小板凝集塊の形成程度をレーザー散乱粒子計測法により測定し、同様に、フローサイトメトリー法による血小板細胞表面抗原(active GPIIb/IIIa, P-selectin)の発現の測定をおこなう。本年度は、311症例の2型糖尿病患者から、本研究への参加同意を得た後、上記血小板活性指標の測定をおこない、臨床データの収集をおこなった。また、1年以上の期間、アスピリン内服下においても自然誘発微小血小板凝集塊の形成を認める(アスピリンにより早期血小板活性を充分に抑制できていない)2型糖尿病患者24症例を対象に、アスピリン(100mg/日)からシロスタゾール(200mg/日)へ抗血小板薬を変更し、2ヵ月後の血小板活性抑制を測定し、その有効性を検証するための臨床データの収集をおこなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
既に311症例の早期血小板活性化指標の測定が終了し、臨床データの収集を終了している。また、アスピリン不応性症例に対するシロスタゾールへの変更による早期血小板活性抑制効果を検証する介入研究は、24症例で実施し終え、現在、その結果を解析し論文化を目指している。
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今後の研究の推進方策 |
これまでに早期血小板活性化指標の測定を終了した対象症例について、その後の臨床経過に関する経年的臨床データの収集をおこない、早期血小板活性亢進がその後の心血管イベント発症リスクである可能性を前向きに検証する。また、血小板凝集に関与すると考えられる血小板膜糖蛋白遺伝子、接着因子、凝固・線溶系に関連する遺伝子に関し、既報のSNPによる遺伝子多型の同定をおこない、早期血小板活性化評価指標との関連、ならびに薬剤反応性の差異との関連性を検証する。
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次年度の研究費の使用計画 |
対象患者の早期血小板活性化指標の経年的変動を観察するため、同様の測定を継続する。
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