研究課題
摂食は、視床下部と、薬物依存による快楽刺激と共通した報酬系(中脳辺縁系ドーパミン神経系)によっても調節されていると予想されているが、その調節機構は明らかにされていない。そこで、肥満モデルマウスを用いて、その調節系の解析を行っている。さらに、中脳辺縁系ドーパミン神経系の活性化が報告されている絶食-再摂食の実験系を用いて、視床下部と中脳辺縁系ドーパミン神経系の神経系の活動について検討を行っている。60%高脂肪食あるいは正常食を2週間摂取させたマウスを用いて、48時間絶食後に4時間の再摂食をさせ、絶食前、48時間絶食後、再摂食4時間後の視床下部と側坐核での炎症に関わる遺伝子発現を検討した。その結果、正常食マウスの48時間絶食後の視床下部では絶食前の視床下部と比較して、有意な炎症反応関連遺伝子の発現増加が認められ、その変化は4時間再摂食後まで持続していた。しかし、高脂肪食摂取マウスの視床下部では、炎症関連遺伝子の発現は48時間絶食後および再摂食4時間後に変化は認められなかった。また、側坐核での炎症関連遺伝子の発現は、正常食群マウスで48時間後に有意な上昇が認められ、再摂食4時間後には絶食前のレベルにまで減少した。しかし、高脂肪食摂取マウスの側坐核での炎症反応関連遺伝子の発現に変化は認められなかった。これらの事から、正常食摂取マウスと比較して、高脂肪食摂取マウスでは、視床下部および中脳辺縁系ドーパミン神経系の炎症反応が異なることが示唆された。
3: やや遅れている
平成25年度より、代表研究者ならびに分担研究者が、それぞれ新しい大学に異動になり、新しいところで、再度、実験系を立ち上げる必要が出てきたため。
これまでの結果から、2週間の高脂肪食摂取で視床下部および側坐核での神経系の反応が異なることが示唆されたので、行動解析と関連脳部位の生化学的な解析とを行う予定である。(1)絶食‐再摂食モデル、2-bottle sucrose preference test、conditioned place preference testを用いて、行動解析を行う。(2)神経ペプチドおよび古典的神経伝達物質による調節機構を明らかにする。(3)学会発表および論文投稿費用。
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