研究課題/領域番号 |
24591329
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
福原 淳範 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (00437328)
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研究分担者 |
下村 伊一郎 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (60346145)
大月 道夫 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (00403056)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 酸化ストレス / 脂肪細胞 / グルタチオン / インスリン抵抗性 / アディポサイトカイン |
研究概要 |
(I) 脂肪組織特異的酸化ストレス除去モデル;aP2 プロモータによってカタラーゼとSOD1 を脂肪組織特異的に過剰発現するマウスを作成、確立した。脂肪組織特異的にcatalaseおよびSOD1 トランスジェニックマウスを得た。脂肪組織特異的に活性が上昇するラインを交配継続し、通常食摂食状態における血中インスリン濃度、アディポネクチン濃度、血糖値、糖負荷テスト、インスリン負荷テストによる耐糖能評価を行った。体重には有意な変化を認めなかったが、カタラーゼの過剰発現マウスでは精巣周囲脂肪重量が増加していた。また、血中およびインスリン標的臓器(脂肪、肝臓、骨格筋)における酸化ストレス指標には有意な差は認めなかった。脂肪組織のアディポサイトカイン発現量には有意な差を認めなかった。絶食および自由摂食下の血糖値およびインスリン値には差がなかったが、カタラーゼ過剰発現マウスではGTTでは差はなかったが、ITTは有意に改善した。SOD1過剰発現マウスではITT,GTT共に差を認めなかった。 (II) グルタチオンによるインスリン抵抗性発症機序の解析;培養3T3-L1 脂肪細胞に対してグルタチオンを添加すると、インスリン誘導性のIRS1 リン酸化、Akt リン酸化が減弱する。肥満マウスを模倣し、脂肪組織においてグルタチオン合成酵素の過剰発現と細胞内グルタチオンが蓄積した細胞を作成した。レトロウイルスを用いたtet-onシステムを用いて、培養3T3-L1 脂肪細胞においてグルタチオン合成酵素を誘導性に発現する細胞を確立した。本細胞においてグルタチオン量が誘導性に増加することを確認した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
脂肪組織特異的酸化ストレス除去モデルの作成は完了しており、脂肪組織特異的な遺伝子発現の誘導に成功した。さらに、酵素活性も脂肪組織特異的に有意に増加しており、内在性の抗酸化酵素に匹敵する酵素活性を得ており、モデルマウスの作成に成功したと考える。 糖代謝指標の解析や、酸化ストレス指標の解析、遺伝子発現量の解析もすすんでおり、順調に進展していると考える。 グルタチオンによるインスリン抵抗性発症機序の解析については、将来のトランスジェニックマウス作成に備えて、グルタチオン添加だけでなく、内在性にグルタチオン合成酵素を誘導する細胞の作成に成功した。グルタチオン添加と本細胞を併用することで研究の進展が期待できると考える。
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今後の研究の推進方策 |
脂肪組織特異的酸化ストレス除去モデル 計画どおりに高脂肪食負荷によって脂肪組織での酸化ストスを惹起した状態で、糖代謝指標および、アディポサイトカイン発現量、酸化ストレス指標の改善を解析する。 さらに、抗酸化酵素の発現を増強し、酸化ストレス指標の改善を期待して、カタラーゼとSOD1のダブルトランスジェニックマウスの作成を開始する。 脂肪組織グルタチオン過剰発現マウスの作成 培養脂肪細胞におけるグルタチオン産生酵素の過剰発現がインスリンシグナルにおよぼす作用を確認したうえで、当初の計画通り、トランスジェニックマウスの作成を開始する。
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次年度の研究費の使用計画 |
研究に必要な糖代謝指標測定、アディポネクチン測定試薬、マウス、PCR関連試薬、RNA抽出試薬、遺伝子発現量測定試薬の消耗品に使用する。
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