研究課題/領域番号 |
24591330
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
南 幸太郎 神戸大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (80334176)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 糖尿病 / 膵β細胞 / 再生医療 |
研究概要 |
今年度は、主にIns2-CreER/R26R-YFPマウスでアロキサンによる膵β細胞傷害性の糖尿病モデルを作製し、ヒトGLP-1アナログ製剤であるリラグルチドの膵β細胞量に対する効果を検討した。6週齢の雄性Ins2-Cre/R26RYFPマウスに、タモキシフェンを2週間かけて5回投与し膵β細胞の標識を行った。最後の投与から10日目に、アロキサン60 mg/kgを尾静脈投与して膵β細胞傷害性の糖尿病モデルを作製した。アロキサン投与の翌日に血糖値が300 mg/dl以上のマウスを実験に用い、同日よりリラグルチドを200 g/kgの用量で1日1回30日間皮下投与した。アロキサン投与後に体重は漸減したが、リラグルチド投与群とコントロール群で差はなかった。摂餌量はリラグルチド投与群でコントロール群に比して少ない傾向が認められた。血糖値は、コントロール群では試験期間中徐々に増加する傾向が見られたものの、リラグルチド投与群では投与後15-17日目以降に上昇が抑制され、コントロール群との差が有意となった。また、膵β細胞量はアロキサン投与によって正常の約15%まで劇的に減少したが、リラグルチドの投与によって約3倍に増加した。リラグルチドはアロキサン投与によって減少した膵β細胞を増加させる作用を有することが明らかとなった。今後、タモキシフェン投与によってYFP標識された膵β細胞の割合の変化を解析することで、リラグルチドの膵β細胞量増加のメカニズムを探る。 また、基礎的な解析の一環として膵β細胞は離乳時のわずかな期間のみ新生が生じることを見出した。さらに、新生膵島と思われるインスリン陽性細胞クラスターのマイクロダイセクションによる単離にも目処がついた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初計画で、平成24年度はマウスの出生直後から幼若期、成体期、老齢期まで、各段階のマウスの膵臓を摘出してインスリン等の免疫染色を行い、膵β細胞数を計数し、同様の解析を妊娠時や膵再生モデルにおいても実施し、膵β細胞量の変化の状態を明らかにするとしていたが、おおむね予定通りに進展している。また、膵β細胞について、増殖が主な時期、新生・分化転換が亢進する時期、増殖も新生もほとんど生じない時期の特定についても目処がついた。
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今後の研究の推進方策 |
基本的には当初研究計画に基づき、いくつかの条件下で膵β細胞の運命追跡を継続、進展させる。特に、病態モデルのでの解析を中心に研究を推進する予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
組織解析の試薬等の消耗品や動物の飼育費、成果発表費として支出する計画である。
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