研究課題/領域番号 |
24591334
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研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
阿比留 教生 長崎大学, 医歯(薬)学総合研究科, 准教授 (00380981)
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研究分担者 |
赤澤 諭 長崎大学, 大学病院, 助教 (50549409)
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キーワード | IRF-4 / NODマウス / 1型糖尿病 / T細胞 / Th17細胞 / Th1細胞 |
研究概要 |
本研究の目的は、1型糖尿病モデルであるNODマウスを用いて,エフェクター細胞である、Th1細胞、Th17細胞、CD8T細胞を標的にした治療法を開発する。 Th17細胞の分化、およびCD8T細胞の活性化に重要な転写因子、IRF-4が標的として有効かどうかの検討のため、IRF-4遺伝子欠損NODバックグラウンドマウスを作製した。結果、IRF-4ホモ欠損NODマウスだけでなく、ヘテロ欠損マウスにおいて、糖尿病発症、膵島炎、自己抗体産生の完全抑制効果を確認した。しかし、IRF-4のリン酸化を阻害するRhoキナーゼ阻害薬(100mg/kg)を、野生型NODマウスに経口投与したが、糖尿病発症抑制効果を認めなかった。 次に、Th1細胞、Th17細胞のエフェクターサイトカインである、IL-17、IFN-g受容体遺伝子両者のダブルノックアウトNODバックグラウンドマウスを作製した。ダブルノックアウトマウスは、野生型NODマウスに比較して、糖尿病発症抑制、および、4週齢以降のリンパ球数増殖の抑制を確認した。制御性T細胞を除去したT細胞を免疫不全マウスに移入し、ダブルノックアウトマウスでの、リンパ球増殖の抑制と糖尿病発症誘導抑制を確認した。以上より、IL-17とIFN-gシグナルは共同して、加齢によるリンパ球増殖と、糖尿病発症に関連している可能性が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
標的遺伝子であるIRF-4遺伝子欠損、あるいは、IL-17,IFN-g受容体遺伝子をダブル欠損した1型糖尿病モデルマウスでの糖尿病発症抑制効果を確認し、治療標的となりうることを証明した。IRF-4遺伝子欠損NODマウスに関しては、現在、論文を作成中である。一方、IL-17,IFN-g受容体遺伝子をダブル欠損マウスでは、脾細胞でのリンパ球減少という予想外の結果を得た。現在、リンパ球数減少のカイネティクス、および、機序について解析を進めている。これまで、IRF-4のリン酸化阻害薬の経口投与による発症抑制効果を検討したが、十分な抑制効果を認めなかった。投与量、投与経路を変更し、治療効果の有無を検討する。また、新規薬物として、effector T細胞の活性化シグナルの阻害薬による、NODマウスへの治療効果について、検討を進めていく予定である。
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今後の研究の推進方策 |
今後、IRF-4を標的にした治療法開発のため、Rhoキナーゼ阻害薬の、用量調整、投与経路について再検討し、発症抑制効果を検討する。また、Th1細胞、Th17細胞両者の活性化シグナル関連するJAK分子や、IRF-4によるCD8T細胞分化に関連するITK分子を標的にした阻害薬による、糖尿病発症抑制効果の検討を計画している。
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次年度の研究費の使用計画 |
研究計画は、予定通り進行しており、特に主たる理由なく研究費について、端数16145円の残高が生じた。 残高、16145円については、次年度の消耗品等の購入を行う予定である。
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