研究課題
我々は、エフェクター細胞(Teff)を標的とした1型糖尿病の新規治療の開発のために、1型糖尿病病態のTeff細胞として中心的な役割を果たしているTh1細胞やTh17細胞のエフェクターサイトカインに注目し、“IFN-ガンマ受容体”、“IL-17”の遺伝子欠損NODマウスの検討を行った。興味深いことに、それぞれの遺伝子を単独に欠損させてもNODマウスの糖尿病発症は抑制されないのに対し、両者を欠損したダブル欠損NODマウスでは、糖尿病発症が有意に抑制された。このことは、IL-17/IFN-ガンマaxisが,1型糖尿病の病態形成に重要であることを示唆している.また、ダブル欠損マウスでは,離乳期以降の、脾臓、リンパ節での,リンパ球の増殖反応が欠失しており、離乳期に被曝する外的抗原(腸内細菌など)の反応に、IL-17/IFN-ガンマaxisが重要で、両者を欠損すると、その反応性が欠如し、疾患抵抗性を有するのではないかという仮説のもとに、現在新たな解析を進めている。また、細胞障害性T細胞、B細胞、いくつかのヘルパーT細胞サブセット、樹状細胞などの複数のTeff細胞、受容体からの刺激を翻訳する重要な転写因子“IRF4”に注目し、IRF4遺伝子欠損マウスの検討を行った。IRF-4ホモ欠損NODマウスは、膵島炎や自己抗体産生、糖尿病進展が、ほぼ完全に抑制されたが、ヘテロ欠損NODマウスにおいても、膵島炎、糖尿病進展が、ほぼ完全に抑制されることが明らかとなった。このことは、エフェクター細胞のIRF4発現を調整することが可能になれば、1型糖尿病(自己免疫疾患)の発症抑制の治療開発につながる可能性がある。ヘテロ欠損マウスの疾患抑制の機序として、T細胞の養子移入を行った結果、部分的な発症抑制しか認めなかったことから、抑制機序にはT細胞以外の関与が示唆された。現在、樹状細胞でのIRF4発現低下の影響について、検討を開始した。
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