研究実績の概要 |
本研究により、糖尿病病態の進展悪化に加えて慢性血管合併症の悪化にも直結する慢性炎症を、METがどのような分子機序で改善するのか、細胞レベルおよび動物レベルで解明し、さらに下流の新規慢性炎症抑制分子を同定することで治療ターゲットとしての有用性を検証した。 (In vitro)HepG2(肝臓由来), L6(筋肉由来), 3T3-L1(脂肪細胞由来)およびMIN6(膵β細胞由来)および磁気ビーズ法にて単離したCD14陽性末梢血単球に対してMET ( 0.6V/cm, 0.1ms, 55 pps, 42℃, 10min)を施行し、高血糖で、あるいはERストレスを誘導するthapsigargin (TG) やtunicamycin (TM)で刺激すると、ERストレスマーカー、炎症関連蛋白の上昇が認められたが、MET処置により低下した。し、その際に認められる炎症性シグナルの活性化状態を検討する。HSP72 siRNAを投与してHSP72作用を消失させた上で、METを施行させたところ、それでも部分的にERストレスおよび炎症抑制効果が確認された。現在、網羅的に微弱電流の刺激を伝達する受容体の同定を行っている。 (In vivo)肥満糖尿病モデルマウス(HFD、db/dbマウス)に対し、12週間MET (12V, 0.1ms, 55pps, 42℃, 10min, 2回/week)を施行した。未処置群に比して、体重は不変であったが内臓脂肪の特異的な減少を認め、血糖値・インスリン値の改善、および血中サイトカインの低下を認めた。また諸臓器におけるERストレス、酸化ストレス、炎症関連蛋白の発現は低下した。AMPKをノックダウンすると、この効果は半減し、METの作用はHSP72発現のみではなく、AMPK活性化が重要であることを示した。
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