研究課題
本研究の初年度には慢性的な高脂肪餌の摂取が視床下部の小胞体ストレスを亢進させ、高脂肪餌への嗜好性を一層、高める悪循環の分子機構をマウス病態モデルにおいて明らかにした。マウスにおいて、玄米由来有効成分のγオリザノールは脳に移行し、脳を主要な作用点として小胞体ストレスを軽減する分子シャペロンとして機能することも明らかとなった。次年度は慢性的な高脂肪餌摂取に伴う 視床下部の小胞体ストレスの亢進と脳内報酬系(線条体や側坐核など)の機能異常の病態連関に関して研究を進め、マウス脳組織を用いて報酬系各神経核を正確に摘出し遺伝子・蛋白発現を評価できる解析系を確立した。更に超微量のマウス脳神経核から抽出したジェノミックDNAを試料としてドパミン受容体(D2R)遺伝子のプロモーター領域におけるDNAメチル化を定量的に解析するシステムを確立した。最終年度はこれらの評価系を用いた解析を進め、慢性的な高脂肪餌摂取(~3か月)がマウス線条体におけるD2R遺伝子mRNA発現を有意に減少させ、線条体におけるD2R遺伝子プロモーター領域におけるDNAメチル化が通常食給餌下の対照痩せマウスと比較して約4倍に増加することを見出した。一方、高脂肪食とγオリザノールを同時に給餌して飼育したマウスでは線条体におけるD2R遺伝子プロモーター領域におけるDNAメチル化が高脂肪餌飼育の場合に比べて半減することが明らかになった。3年間の研究によって、慢性的な高脂肪餌の摂取がマウス脳において視床下部の小胞体ストレスを亢進させ、高脂肪餌への嗜好性を一層、高める悪循環を形成すること、更にゲノム修飾効果(DNAメチル化)によって脳内報酬系の主要なシグナル伝達分子であるドパミンの受容体(D2R)の発現を有意に低下させ、摂食に伴う満足感が得られにくくなっている可能性が示され、高脂肪食依存の新たなメカニズムの解明に寄与する結果が得られた。
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