研究課題/領域番号 |
24591339
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研究機関 | 京都府立医科大学 |
研究代表者 |
福井 道明 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (30247829)
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研究分担者 |
長谷川 剛二 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (00295643)
中村 直登 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (40227921)
邵 仁哲 明治国際医療大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (40305587)
山崎 真裕 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (50309134)
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キーワード | アンドロゲン / インスリン抵抗性 / 脂肪肝 / 糖輸送担体 |
研究概要 |
加齢などによるテストステロン低下は、インスリン抵抗性を惹起し糖尿病やメタボリック症候群発症に関与すると報告されているが、その分子機構は解明されていない。脂肪細胞や骨格筋における細胞内糖取り込み作用はインスリン抵抗性と密接な関連があることが知られている。本研究では3T3-L1脂肪細胞を用い、テストステロンが細胞内糖取り込み機構に及ぼす効果の検討,およびGLUT4細胞膜移行のシグナル伝達機構におけるテストステロンの作用機序を明らかにする。 【方法】前駆脂肪細胞 (3T3-L1)より分化誘導した脂肪細胞を用いた。細胞内への糖取り込み活性をRI標識した2-deoxyglucose (3H-2DG)を用いて測定した。細胞膜分画(密度勾配超遠心法)のGLUT4発現をWestern blot法にて解析した。またRobinson らの方法に従って細胞膜剥離(細胞膜シート)し、共焦点レーザー顕微鏡を用い細胞膜シートのGLUT4発現動態を免疫組織化学的に解析した。各解析において刺激物質として、テストステロン (1nM, 10nM, 100nM)、および細胞膜不透過性のテストステロン-BSA (1nM, 10nM, 100nM)を用いた。 【結果】細胞内への糖取り込みはテストステロン刺激では変化を認めなかったが、100nMテストステロン-BSA刺激にて増加を認めた。同様に細胞膜分画のGLUT4発現量は100nMテストステロン-BSAにて増加を認め、この結果に一致した細胞膜シートGLUT4蛍光強度の増強を認めた。また、AMPKのリン酸化タンパク発現量は100nMテストステロン-BSAにて増加していた。 【総括】3T3-L1脂肪細胞においてテストステロンが細胞内糖取り込みを増加させる機序として、細胞膜受容体を介したGLUT4細胞膜移行のシグナル伝達機構活性化が関与していることが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度の目標である脂肪細胞でのテストステロンによる糖取込み作用機序を解明した。結果については国内・国際学会で発表予定であり、論文として投稿中である。 3T3-L1細胞を用い①3H-2DGによる糖取込み試験、②細胞膜分画におけるテストステロンによるGLUT4およびその調節分子の発現量の解析を行い、テストステロンが細胞内糖取り込み機構に及ぼす効果およびGLUT4細胞膜移行のシグナル伝達機構におけるテストステロンの作用機序を明らかにした。
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今後の研究の推進方策 |
①精巣摘出マウスとアロマターゼノックアウトマウス (ArKO)を用い、テストステロンおよびテストステロン代謝産物(DHT、17β-エストラジオールなど)の量的変化によるインスリン抵抗性惹起機構を明らかにする。また、インスリン標的臓器の性ホルモン受容体(AR、ER、GPCRなど)の役割を明らかにする。 ②ArKO とSMP30ノックアウトマウス(酸化ストレス増大モデル)との交配により新規モデルマウスを確立し、インスリン抵抗性惹起機構における性ホルモンやその関連分子と酸化ストレス関連分子との相互関係を明らかにする。
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