研究課題
本研究は摂食の概日リズム創出機構を明らかにすることを目的としている。今までに、げっ歯類(ラット)において暗期に光(200lux)を照射すると摂食抑制が起こり、明期に光を遮断すると摂食の亢進がおこることを明らかにした。このことから確かに光による摂食制御機構があることが明らかになった。光照射時のニューロン活性をc-Fosを指標として調べると、視交叉上核(SCN)、室傍核(PVN)、視索上核(SON)にc-Fosの発現が見られた。また、SCNのバソプレッシンニューロン、PVNオキシトシン(Oxt)ニューロンが少なくとも光照射により活性化することが 明らかになった。さらにPVN Oxtニューロンがバソプレッシンにより活性化することをスライスパッチクランプにより明らかにした。さらに、室傍核Oxtおよびネスファチン(Nesf)ニューロンにAVPを作用させると細胞内Ca2+の増加がみられることがCa2+イメージングにより明らかになった。またSCN AVPニューロンがPVN に投射するかを調べるために逆行性トレーサーであるコレラトキシンサブユニットB(CTB)をPVNに局所投与したところ4日目にはSCNに標識されたニューロンが見られた。さらにSCN標識ニューロンの70%がAVPニューロンであることも明らかになった。以上のことから光による摂食抑制にはSCN AVP, PVN Oxtニューロンが関連することが示唆された。
2: おおむね順調に進展している
今までの研究で、光による摂食抑制神経経路にSCN バソプレッシンとPVN オキシトシンニューロンの活性が重要であることを示唆するデータを得ている。これは申請時に計画した目標の達成度と一致しているため本研究はおおむね順調に進展していると評価できる。
今までの研究で、光による摂食抑制神経経路にSCN AVPとPVN Oxtニューロンの活性が重要であることを示唆するデータを得ている。しかしこの神経経路に確かに上記バソプレッシンとオキシトシンが必要である確固たる証拠がないために、今後はSCN AVPおよびPVN Oxt(Nesf)のそれぞれのノックダウンを行い、光による摂食抑制が消失するかを調べ、生理的にSCN AVP, PVN Oxtの重要性を証明する。また上記神経経路が概日摂食リズムが崩れている肥満動物(Zcuker fatty rat)では光照射および光遮断による摂食制御機構が正常かを調べる予定である。異常であれば上記神経経路のいずれに異常が生じているのかを明らかにし、治療への応用基盤を検討する。
年度がかわる以前に病態動物であるZcuker fatty ratを購入予定であったが、施設使用の兼ね合いで、購入が4月以降にずれ込んだため。6月までに病態動物を購入し、実験計画どおり遂行する予定である。
すべて 2014 2013 その他
すべて 雑誌論文 (6件) (うち査読あり 6件) 学会発表 (2件) 備考 (1件)
Journal of Physiological Sciences
巻: 64(1) ページ: 77-83
10.1007/s12576-013-0294-3
Neuroscience Letters
巻: 564 ページ: 72-77
10.1016/j.neulet.2014.01.032
Biochem Biophys Res Commun.
巻: 434 (3) ページ: 434-438
10.1016/j.bbrc.2013.03.090
Neuropeptides
巻: 47(4) ページ: 225-230
10.1016/j.npep.2013.05.004
巻: 551 ページ: 39-42
10.1016/j.neulet.2013.07.006.
Front Synaptic Neurosci
巻: 5(7) ページ: 1-13
10.3389/fnsyn.2013.00007
http://www.jichi.ac.jp/news/research/2013/20130507.html