研究課題
暗期に3時間の光照射を行うと、摂食量、飲水量は最初の1時間のみ、行動量は2時間抑制された。光の照射により活性化する神経核を調べるために、暗期の光照射後90分でc-Fos発現部位を調べると、PVN、SCN、視索上核(SON)、孤束核(NTS)で増加していた。PVNのc-Fosタンパク陽性ニューロンにおいてOxtの二重染色を行った結果、c-Fos発現ニューロンの約60%がOxtニューロンであり、対照群と比較して有意に増加していた。光照射後に発現するc-Fos発現ニューロンの約50%がAVPニューロンであることが明らかになり、有意な増加が見られた。SCN→AVPの投射を逆行性トレーサーCTBで調べるとPVNに投射するニューロンの70%がAVPニューロンであった。よってSCNにおけるAVPの多くはPVNに投射することが明らかになった。また、PVNより単離したニューロンにAVPを作用させると35%で[Ca2+]iを増加させた。さらに[Ca2+]iが増加したニューロンの約50%がOxtニューロンであった。さらに電気生理学解析においては、AVPはOxtニューロンにおいて静止膜電位および活動電位を増加させた。69%のOxtニューロンがAVPにより活動電位が増加した。PVNにおけるAVPの摂食への作用を明らかにするために、AVP(60 pmol)をPVNに局所投与すると、0.5-24時間において摂食量の低下がみられた。さらに、光刺激による摂食抑制がPVNにおけるAVP作用を介しているかを調べるために、AVP受容体(V1R)阻害剤をPVNに局所投与し、光照射下における摂食量を調べた。光照射により摂食量は低下したが、予めPVNにV1R阻害剤を投与した群においては光照射による摂食量の低下が有意に減弱していた。以上のことから、光照射による摂食抑制メカニズムにおいて、網膜の光情報はSCNのAVPニューロンを活性化させ、投射先のPVN Oxtニューロンを活性化させることで摂食を抑制していると考えられる。
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