研究課題/領域番号 |
24591343
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 日本大学 |
研究代表者 |
石原 寿光 日本大学, 医学部, 教授 (60361086)
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研究分担者 |
山口 賢 日本大学, 医学部, 助教 (70451614)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 膵ランゲルハンス島 / グルカゴン / インスリン / スルホニル尿素受容体 / スルホニル尿素薬 / DPP-4阻害薬 |
研究概要 |
膵島ホルモン分泌調節に重要な役割を担うスルホニル尿素受容体(SUR1)を発現するトランスジェニックマウスを作製するために、まずMIN6細胞での発現解析に着手した。野生型のSUR1とともに亜鉛を介する機能調節に重要である2つのヒスチジン残基をアラニンに置換した変異SUR1を発現させた。現在その機能の解析を進めている。 また、グルカゴン分泌α細胞の特徴を理解するために、転写因子ArxをMIN6細胞に強制発現させて、解析している。MIN6細胞にArxを発現させるとグルカゴンの発現が増え、インスリンの発現が低下することは、すでに報告されているが、均一なcell populationで強力にArxを発現させることにより、また他の転所因子の強制発現あるいは発現抑制と組み合わせることにより、新たな知見が得られると考えられる。このために、従来の発現方法と並行して最近進歩の著しいゲノム改変の手法を取り入れた。このことにより、特に挿入したい遺伝子が大きい場合にその効率の改善が認められた。 さらに、血糖降下薬の一つであるスルホニル尿素(SU)薬のグルカゴン分泌に及ぼす影響と2型糖尿病の進展に伴って認められるβ細胞量の減少との関係を明らかにするために、ストレプトゾトシンでβ細胞を急性に破壊した場合のグルカゴン分泌の変化を検討している。当初の予想と異なり、β細胞破壊後の時間経過によって、グルカゴン分泌の変化が異なることが明らかになり、最適な検討ポイントを検討しているところである。 一方、臨床研究として、インスリンのみで治療中の患者にDPP-4阻害薬あるいはビグアナイド薬を追加投与した場合の血糖コントロール改善に伴うグルカゴン分泌の変化を検討中である(UMIN000008155)。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
膵α細胞におけるKATPチャネルの役割を解明する目的については、SUR1が大きな分子であるために分子細胞学的操作がやや難しく、当初の予定より時間を要したと考えている。しかし、薬剤誘導的な発現系を用いることと、平行して取り入れたゲノム改変の手法を取り入れることにより、このサブプロジェクトは順調に進行している。 膵α細胞における代謝・分泌連関の特徴を解明する目的については、Arxを均一に発現する細胞を構築し、解析に着手しており、進行はおおむね順調である。 グルカゴン分泌の内在性およびパラクリン制御からみた血糖降下薬の作用の解明については、ラットを用いた実験が再検討の必要があると考えている。膵β細胞破壊後の時間経過によるグルカゴン分泌の変化が、予想より長期にゆっくりおこるようであることがわかってきた。α細胞の安定性あるいは可塑性に関する情報が乏しかったことが、予想と違ってしまった一因であると考えている。β細胞とは異なる特徴を有している可能性も明らかになり、興味を持っている。一方、血糖降下薬のグルカゴン分泌に対する影響を検討する目的での臨床研究は順調に進んでいる。目票としていた20名以上の症例の登録が済み、20名弱において3か月にわたるサンプルの採取は完了した。一部のデータを解析したところでは、第一の評価項目であるグルカゴン分泌の変化について、予想通りの点もあれば、予想外の結果も得られている。さらに他の評価・検査項目の解析を進めるとともに、残りの症例についてプロトコールを遂行する。
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今後の研究の推進方策 |
SUR1の発現を用いた解析に関しては、本年度での研究で作成したコンストラクトが概ね正しく機能することが確認されたので、いくつかの検討を加えた後に、トランスジェニックマウスを作製するステップへ進行する。まずは、野生型SUR1を用いて行なう。並行してMIN6細胞の系を用いて、亜鉛を介する機能調節に重要である2つのヒスチジン残基をアラニンに置換した変異SUR1の解析を行なう。 MIN6細胞へのArxの発現による解析は、今後本格化していく予定である。マイクロアレイを用い、発現分子を網羅的に検討し、グルカゴン産生・分泌制御に重要な候補遺伝子を探索する。得られた分子に対し、強制発現あるいは発現抑制を用いて、検討する。 動物実験によって、グルカゴン分泌に対する膵β細胞からのパラクリン制御の重要性を検討するサブプロジェクトについては、ストレプトゾトシンによる急性のβ細胞破壊では、個体による破壊の程度の違いをコントロールすることが難しいことと、その後の経過でのα細胞変化の個体による違いをコントロールすることが難しい印象を得ている。そこで、緩徐な経過でβ細胞の減少、グルカゴン分泌の亢進を来すGoto-Kakizakiラットを用いて解析する方向で検討している。GKラットでの経口あるいは径腹腔ブドウ糖負荷試験時のグルカゴン応答について十分なデータが報告されていないため、この点を予備実験として検討する。グルカゴン分泌の変化が大きく、さらに薬剤による介入による変化が期待されるほどであれば、SU薬やDPP-4阻害薬を用いGKラットにおいて検討したい。 臨床研究に関しては、残りの症例について3か月のプロトコールを完遂させ、得られたサンプルの解析を早急に進め、論文としての発表へ進めていく。これまでの過程で、ビグアナイド薬の新たな特徴も見えてきたため、この点も検討したい。
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次年度の研究費の使用計画 |
該当なし
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