研究課題
グルカゴンの糖尿病治療における重要性を検証するために行った臨床研究がEndocrine Journal に掲載された。この臨床試験は、インスリンのみで加療中であるが血糖血糖コントロールが不良な患者に対して、DPP-4阻害薬(シタグリプチン)あるいはビグアナイド薬(メトホルミン)を追加投与し、その血糖コントロール改善メカニズムを解析した。予想の通り、DPP-4阻害薬はグルカゴン分泌低下作用を示したが、本年度、そのrevisionの過程で追加して解析を行った。その結果、日本人においても、DPP-4阻害薬による活性化インクレチンの増加が、インクレチン自体の分泌を抑制していることを見出した。DPP-4阻害薬の効果の継続性を考察する上で重要と考えられる知見である。一方、膵β細胞由来のMIN6細胞にα細胞を特徴づける転写因子Arxを発現させるサブ課題では、その効果にばらつきが多く解析に困難を生じている。MIN6細胞のクローンによって、分化の程度に違いがあり、このような結果になっている可能性が考えられた。そこで、現在細胞株を変えて同様な解析をするために、実験系を改訂して行っている。その際に、核酸導入効率の悪い細胞株への遺伝子導入の効率を高める方法をこれらの細胞株に応用し、遺伝子導入細胞株を多種類作製することを可能にした。さらに、最近開発されたゲノム編集の方法を取り入れ、遺伝子発現を抑制した細胞株を得ることにも着手した。グルカゴン分泌制御におけるスルホニル尿素受容体の役割を検討するサブ課題には、遅れが生じているが、修正点も明らかになったので、しっかりと進めていきたい。
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Endocrine Journal
巻: 62 ページ: 133-143
10.1507/endocrj.EJ14-0148