私どもは、昨年まで、劇症1型糖尿病、自己免疫性1型糖尿病、2型糖尿病、健常者を対象に、免疫寛容において中枢的な役割を果たすCD4+CD45RA-FoxP3high activated 制御性T細胞数を測定し、自己免疫性1型糖尿病において同細胞数が増加していることを明らかにした。また、劇症1型糖尿病、自己免疫性1型糖尿病、健常者を対象に、CD4+CD45RA-FoxP3high activated 制御性T細胞によるeffector T細胞の増殖抑制機能を評価したところ、劇症1型糖尿病と自己免疫性1型糖尿病において、健常者と比較して同細胞による抑制機能が低下していることを明らかにした。 本年、私どもは、刺激時に抑制機能を獲得するCD4+CD45RA+FoxP3low resting 制御性T細胞によるeffector T細胞の増殖抑制機能を評価した。その結果、劇症1型糖尿病と自己免疫性1型糖尿病において、健常者と比較して同細胞による抑制機能が低下していることを明らかにした。 さらに、CD4+CD45RA-FoxP3high activated 制御性T細胞の量的・質的異常と患者背景との関与を評価した。その結果、インスリン分泌能が残存している(血清C-ペプチド≧ 0.01 ng/ ml)自己免疫性1型糖尿病において、同細胞数が増加していることが明らかになった。この結果の重要な点は、1型糖尿病のインスリン分泌の有無によって、制御性T細胞の動態が異なることが明らかになったことである。
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