研究課題/領域番号 |
24591346
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 近畿大学 |
研究代表者 |
馬場谷 成 近畿大学, 医学部, 講師 (10449837)
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研究分担者 |
池上 博司 近畿大学, 医学部, 教授 (20221062)
川畑 由美子 近畿大学, 医学部, 准教授 (80423185)
能宗 伸輔 近畿大学, 医学部, 講師 (90460849)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 糖尿病 / 疾患感受性遺伝子座 / NSYマウス / コンソミックマウス / コンジェニックマウス / 相互作用 |
研究概要 |
①これまで系統化している11番染色体コンソミックマウスは、11番相同染色体がともにNSY由来のホモ個体 (NSYホモ)であるが、この系統をC3Hマウスと交配して11番相同染色体が一方のみNSY由来であるヘテロ個体(ヘテロ)を作製し、表現型をNSYホモ、C3Hホモと比較解析することにより、11番染色体上遺伝子(群)のdose effectならびに遺伝様式の検討を行った。この結果、NSY由来の11番染色体上の遺伝子(群)は、糖尿病およびSTZ感受性に対して、相加的効果を示すことが明らかにした(Babaya N et al. Journal of Diabetes Research, 2013)。 ②これまで作製し報告してきたコンソミック(Babaya N et al., Diabetologia 53:1362-71, 2010)のターゲットとなる疾患感受性領域は比較的広く、より限局化された領域・遺伝子として同定するためには、新たなモデルの樹立が必要となる。より限局化された糖尿病感受性領域を有する系統(14番染色体コンジェニック)の樹立が終了し、その一部のデータを第48回欧州糖尿病学会年次学術集会において発表した(Babaya N et al., Diabetologia 55: Suppl 1:S267-268, 2012)。 ③2型糖尿病において、環境因子の遺伝子発現に及ぼす影響を検討する目的で、NSYマウスとC3Hマウスに対してショ糖負荷を行い、インスリン抵抗性の主要関与臓器である肝臓での遺伝子発現量を、gene chipを用いて検討し報告した(Nojima K, Babaya N et al., Endocrine Journal 60:261-274, 2013)。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究では3項目(①2型糖尿病の原因となる遺伝子の同定、②遺伝子間相互作用、③遺伝子-環境間相互作用)に焦点を絞り実験を遂行してきた。 ①11番染色体、14番染色体コンジェニックマウスの系統維持を行うとともに、表現系解析システムの構築を行った。また、14番染色体コンジェニックマウスに関しては、その一部のデータを第48回欧州糖尿病学会年次学術集会において発表しており (Babaya N et al., Diabetologia 55: Suppl 1:S267-268, 2012)、想定した以上の進展が認められている。さらに、6番染色体のコンジェニック系統の作製を開始した。 ②主要遺伝子座(Nidd1, Nidd2, Nidd3)をそれぞれ単独で有するシングルコンソミック系統を交配し、ポリコンジェニック系統の作出を開始した。遺伝子間相互作用を解析することが最終目標であるものの、これらの系統の作出には相当な時間を要することから、当初の計画にはないが、作出の過程で得られたヘテロのコンソミックマウスを解析し、同一遺伝子のdose effectに関して検討し報告した(Babaya N et al. Journal of Diabetes Research, 2013)。 ③当初の予定通り、コンソミックマウスの親系統(NSYマウスおよびC3Hマウス)に対してGene chipを用い肝臓での様々なmRNA発現量を比較検討し、さらに高ショ糖食負荷下での発現量も検討し報告した(Nojima K, Babaya N et al., Endocrine Journal 60:261-274, 2013)。当初予定の環境因子としての脂肪食負荷に関しては、未達成である。 上記より、「おおむね順調に進展している」と判断した。
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今後の研究の推進方策 |
今後も3項目(①2型糖尿病の原因となる遺伝子の同定、②遺伝子間相互作用、③遺伝子-環境間相互作用)に焦点を絞り研究を継続する。 ①これまでに準備したマウスの表現型解析を行う。表現形解析の一部としてGene chipを用い、親系統とそれぞれのコンジェニック系統の各臓器間での様々なmRNA発現量を比較検討することにより、それぞれの遺伝子座がどのようなシステムを介して、機能を発揮しているのかを検討する。6番染色体コンジェニック系統を樹立する。 ②ダブルコンジェニック(Nidd1+3、Nidd2+3)、トリプルコンジェニック(Nidd1+2+3) を作出する。 ③既に樹立済みのダブルコンソミックマウス(Nidd1+2)に対して、環境負荷を行い、表現型の変化を比較検討する。
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次年度の研究費の使用計画 |
マウスの系統維持管理費、飼料費に使用する。 マウス表現型解析のための血糖測定やインスリン測定キット、組織固定や染色を行う際に必要な消耗品に使用する。 Gene ChipによるmRNAの解析を行う際の費用に使用する。 DNA抽出や遺伝子型決定のための試薬、機器の維持管理に関わる費用に使用する。
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