研究課題
我々はこれまでに、果糖摂取がもたらす肝臓における糖・脂質代謝異常や脂肪肝に、細胞内代謝経路のヘキソサミン経路を介した細胞内蛋白へのO-結合型糖修飾(O-GlcNAc)が重要な役割を担うことをテーマとして研究を行ってきた。特に、転移酵素O-GlcNAc transferase(OGT)の肝臓特異的ノックアウトマウスを用いて検討を行っており、これまでの検討にて、O-GlcNAc修飾蛋白の発現が減少しており、体長や脂肪重量が小さいにもかかわらず肝重量が大きく、組織学的に肝細胞壊死や炎症細胞の浸潤、偽胆管の形成や線維化など、肝細胞障害を著明に認めていた。これらの変化は、通常食よりも高果糖食摂取においてより顕著であった。また、血清トランスアミナーゼ値が著明に上昇していた。肝臓組織から抽出したcDNAより定量的PCR法を行ったところ、線維化や酸化ストレスに関連する遺伝子の発現が増加していた。さらに、腹腔内ブドウ糖負荷試験(IPGTT)や腹腔内インスリン負荷試験(IPITT)、ピルビン酸負荷試験(IPPTT)などの糖代謝について検討を行ったところ、肝臓特異的OGTノックアウトマウスが対照マウスと比較して、負荷後の血糖値に変化を認めなかった。また、肝臓特異的OGTノックアウトマウスの肝臓での遺伝子発現の変化を、マイクロアレイを行った。遺伝子オントロジー(GO; gene ontology)解析にて、遺伝子発現変動比(Fold Change)の絶対値が2より上であった742プローブのうち、422個が遺伝子として認識されるものであった。一方、遺伝子発現カスケード解析にて、遺伝子発現変動比(Fold Change)の絶対値が3.5より上であった175個の遺伝子と、発現に変動がなかった882個の遺伝子の結果より、有意に多く結合部位が推定される転写因子群やカスケード解析などを詳細に行っていく。
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