研究課題
平成25年度の研究において、1)肥満モデルマウスの血清尿酸値が高値であり、XOR阻害剤投与で低下すること、2)脂肪組織が非常に高いXOR活性を有する臓器であること、そして肥満に伴いその活性がさらに亢進すること、3)成熟脂肪細胞が尿酸を産生・分泌すること、4)脂肪組織を実験的に虚血状態にしたときに脂肪組織局所での尿酸分泌が亢進し、それは血中濃度に影響しうるポテンシャルがあること、5)器官培養実験で、肥満モデルマウス由来の脂肪組織が対象マウスの脂肪組織より高い尿酸分泌能を有すること、6)低酸素状態により、脂肪細胞よりの尿酸分泌が亢進すること、を明らかにした。以上のデータを投稿し、J.Biol.Chem.に投稿し、revise 実験を経て、受理されpublishされた(Tsushima Y, Nishizawa H, et al. J.Biol.Chem. 2013)。これらのデータは、肥満脂肪組織で核酸・尿酸代謝が亢進していることを示唆している。肥満脂肪組織で活発となっている尿酸産生の意義と、糖代謝、脂質代謝、アミノ酸代謝との関連を明らかにするため、肥満モデルマウスとコントロールマウスの脂肪組織のメタボローム解析を実施した。肥満に伴い多くの代謝物(メタボローム)が変化していることが明らかとなり、変化が顕著であった代謝物を直接定量し検証した。これらの肥満脂肪組織で変動が顕著であった代謝物の脂肪組織での意義を代謝異常のみならず脂肪組織機能異常(アディポサイトカイン産生異常など)との関連を明らかにするため実験を開始した。
2: おおむね順調に進展している
本研究の目的は肥満脂肪組織の代謝異常を明らかにすることだが、初年度は、これまで全く明らかとなっていない脂肪組織の核酸・尿酸代謝に焦点を絞って研究を開始し、上記のように新規の知見が明らかとなり、昨年度論文報告できた。さらに最近進歩が目覚ましいメタボローム解析の手法を脂肪組織に応用できるか検討を行い、脂肪組織でメタボローム解析が可能であること、また肥満マウス脂肪組織とコントロールマウスとの間の比較で代謝物の変化をとらえられることがわかった。以上のことから当初の計画通りおおむね順調に経過していると判断している。
最終年度は、上記変動の大きい候補代謝物の脂肪組織での意義(脂肪細胞機能異常との関連)を明らかとすること、および核酸尿酸代謝と糖・脂質・アミノ酸代謝との関連をメタボローム解析スナップショットのみならず安定同位体を用いた動態解析を行い、代謝の流れを検討し、その代謝経路が活性化しているのか検討することを目指す。
すべて 2013 その他
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