研究課題
昨年度、マウス脂肪組織、成熟脂肪細胞で尿酸が産生・分泌され、それらが肥満モデルマウスで亢進していることを報告した(Tsushima Y, Nishizawa H et al. J.Biol.Chem. 2013)。このことは、肥満時の高尿酸血症に対して、直接脂肪組織が関与する可能性をマウスモデルで示したものである。本年度は、本研究で得られた上記知見をヒトで検証するため、肥満外科手術例、肥満および普通体重者に対する腹部手術例由来の内蔵脂肪および皮下脂肪の検体採取につき、当院倫理審査委員会で承認を得、検体採取および、パイロットスタディを開始し、ヒト脂肪組織器官培養由来の培養液からプリン代謝物が検出されることを確認した。今後症例数を積み重ね再現性含め検証予定である。また、上記研究は、肥満脂肪組織でプリン代謝が亢進していることを示すもので、これまで脂肪細胞でされてきた糖・脂質代謝よりもっと広く肥満脂肪組織では代謝異常が惹起されている可能性が考えられる。そこで網羅的に代謝物含量の肥満脂肪組織での変動をメタボローム解析により検討したところ、TCAサイクル周辺の代謝物やグルタミン酸をはじめ各種アミノ酸含量が大きく変動していることを見出だした(2015年5月学術集会にて発表予定)。これらのアミノ酸を脂肪細胞に添加するとアディポネクチンの分泌に影響を与えることがわかり現在検証中である。さらにこれらの代謝物の変動が、1)脂肪組織内部で積極的に起こって血中に影響を及ぼしているのか、または、2)消化管→血液から脂肪組織への流入によって起こっているのかを検討する目的で、安定同位体を用いた代謝動態解析と、各種代謝物のトランスポーターの変動に着目しての検討を開始した。本研究課題は本年度で終了するが、引き続き平成27年度より基盤C(課題番号:15K09412)で検討をさらに進めて行く予定である。
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