Flox LpLマウスとalbumin cre transgenic mouseを交配して、肝臓特異的LpL欠損マウス(L-LpLKO)を作成した。通常食では、肝臓LpL mRNA発現は対照であるflox LpLマウス(cont)と比較してL-LpLKOにおいて67%抑制されていたが、LpL活性は両群間で差がなかった。そこでLXRアゴニストのT0901317を2週間投与したところ、contでは肝臓LpL mRNAが投与前に比べ11倍の増加を認める一方、L-LpLKOでは3.2倍の増加に留まった。また、肝臓LpL活性はT0901317によりcontでは77%増加するが、L-LpLKOでは11%増加するに留まり、その結果肝臓LpL活性はcontに比べL-LpLKOで45%抑制されていた。一方、T0901317においても脂肪組織、骨格筋、心筋におけるLpL活性の誘導はcont及びL-LpLKO共に認められず、投与前後で両群間に差は認められなかった。血清LpL活性もT0901317による誘導は認められず、T0901317投与前後共に両群間で差を認めなかった。血清脂質は、T0901317によりcontではtriglyceride(TG)及びHDLの増加が認められた。一方、L-LpLKOマウスではcontに比べ血清TGの増加が著明であり、逆にHDLの増加は認められなかった。 これまで骨格筋、心筋、脂肪組織に発現するLpLが血中VLDLのTGを水解し、さらにHDLの形成を促進するとされてきた。しかし、本実験では骨格筋、心筋、脂肪組織、そして血清のLpL活性がcontと比較してL-LpLKOでは差がなく、contとL-LpLKOマウスでは肝臓LpL活性のみ差を認めることから、肝臓LpLは血清TG及びHDL代謝に重要であると考えられる。
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