本研究は、哺乳類個体の脂質・エネルギー代謝制御に多面的に関与する膜タンパク質、beta Klothoの分子機能の解明を目指し、以下の3つの成果を得た。第一に、beta Klothoのノックアウトマウスや肝細胞特異的トランスジェニックマウスを用いた研究により、肝細胞に発現するbeta Klothoがマウス個体の胆汁酸のみならず脂質・リポタンパク質代謝恒常性に必要かつ十分であることを示した。第二に、beta Klothoノックアウトマウスにみられる体重減少と食餌性肥満への抵抗性は、トランスジェニックによる肝臓や脂肪組織でのbeta Klotho発現のレスキューによって消失しないことから、体重の制御には、肝臓・脂肪組織以外の臓器(中枢神経系など)に発現するbeta Klothoが重要であることが示された。以上を論文投稿中。第三に、beta Klothoノックアウトマウスの血漿アミノ酸濃度異常を発見し、これが脂肪細胞におけるbeta Klotho欠損に起因することを明らかにした。
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