研究課題/領域番号 |
24591356
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
内田 克哉 東北大学, 情報科学研究科, 助教 (40344709)
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研究分担者 |
小林 健一 独立行政法人労働安全衛生総合研究所, 健康障害予防研究グループ, 常勤研究員 (00332396)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 甲状腺ホルモン / パルブアルブミン / インターニューロン / GABA / 海馬 |
研究概要 |
実験にはマウスを用いるが、マウスはラットと異なり抗甲状腺剤に対する抵抗性を持つことが知られている。そこで本実験では甲状腺機能低下症モデル動物を作成する際に、抗甲状腺剤のみならず低ヨード食を与えることにした。C57BL6系マウスに抗甲状腺剤(0.05%メチマゾール、1%塩素酸カリウム)を溶かした水および低ヨード食(日本クレア特殊配合飼料)を2週間与えて甲状腺機能低下症モデル動物を作成した。これらの甲状腺機能低下症モデルマウスと対照群のマウスの血中甲状腺ホルモン(T4)量を測定したところ、対照群と比べて甲状腺機能低下群の血中T4は7分の1に低下しており、本法の有効性を確認した。次に、妊娠後期マウス(E17.5)に0.05%メチマゾール、1%塩素酸カリウム、低ヨード食を与え、先天性甲状腺機能低下症を呈する仔マウスを作成し、出生14日目におけるGABAインターニューロンの組織学的変化を解析した。先天性甲状腺機能低下群の大脳皮質および海馬におけるパルブアルブミン(PV)陽性細胞は顕著な減少を示したが、その一方で、海馬におけるソマトスタチン(Sst)陽性細胞は顕著に増加した。このような変化は、出生直後からの外因性甲状腺ホルモン(T4、T3)の補充することによって改善されることから、GABAインターニューロン形成に甲状腺ホルモンが何らかの作用をもたらすものと推察された。また、大脳皮質および海馬からTotal RNAを抽出しRT-qPCRを行いPVやSstを始め他10数種類の標的遺伝子の発現変動を観察した。先天性甲状腺機能低下症モデル動物において、発現減少が観察される遺伝子は甲状腺ホルモンの補充で、その発現量が正常個体群と同程度までに回復することが明らかとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
遺伝子発現解析から得られた結果の信頼度を高めるために、同じ実験を数回繰り返したため、当初の計画よりもやや遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
遺伝子発現解析を数回繰り返したことによって、組織学的実験の一部が次年度に持ち越されている。新年度は、この持ち越された免疫組織学実験に加え、組織上での遺伝子発現変化を確認するためにin situ hybridization法を用いた分子組織学的解析に移行する予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
分子組織学的検討を行うための試薬や抗体等に使用予定。
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