研究課題/領域番号 |
24591358
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 福井大学 |
研究代表者 |
米田 誠 福井大学, 医学部, 准教授 (70270551)
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研究分担者 |
篁 俊成 金沢大学, 医学系, 准教授 (00324111)
井川 正道 福井大学, 医学部附属病院, 助教 (60444212)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 橋本脳症 / 血管炎 / 自己抗体 / 脳血流SPECT |
研究概要 |
本研究では,慢性甲状腺炎(橋本病)に合併する自己免疫性脳症(橋本脳症)において,病理学的に報告されている脳血管炎に焦点を合わせ,分子病態機序・免疫学的背景を探求するとともに,臨床徴候と局所脳血流の変化を比較検討する.昨年度は,現在当施設および関連施設で診療している抗NAE抗体陽性の橋本脳症7例と健常人8名の脳血流SPECTを3D-SSP解析により標準脳との血流の増減を統計学的に比較検討した.その結果,橋本脳症患者では,左前頭前皮質,内側前頭前皮質から全部帯状回で部位特異的な脳血流の低下の認められることが判明した.また,分子病態機序の探究の目的で,ヒト脳由来微小血管内皮細胞株(TY10細胞)(J Cell Physiol 2010;山口大学神経内科 神田 隆教授との共同研究)を安定的に継代・培養させるシステムを福井大学において構築した.血添加前後でのプロテオーム変化を検討する目的で,蛍光標識二次元ディファレンシャル電気泳動解析(2D-DIGE)法とMALDI-TOF MS(Autoflex, Bruker Daltonics,福井大学医学部常設)による解析システムを構築した.また,HLAなどを含む遺伝子背景を探索する目的で,DNAチップによるエクソーム解析(東京都健康長寿医療センター,三重大学との共同研究)を新たに倫理員会承認の元で開始し,国内よりのDNAの収集と解析を行っている.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
橋本脳症の脳血流SPECTに関しては目標を達成し,投稿予定である.分子病態研究に関しては,血管内皮細胞の培養やプロテオーム解析,免疫組織化学のシステムも構築し,今後探究する準備は整った.新たに,DNAチップによる橋本脳症の背景遺伝子型のエクソーム解析も開始できた.
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今後の研究の推進方策 |
血管内皮細胞に橋本脳症の患者血清を添加し,プロテオームの変化を解析,免疫組織化学および免疫ブロットによって血液脳関門関連蛋白質などの変化を解析し,自己抗体による血管炎の病態機序を解析する.また,橋本脳症の患者よりDNAをさらに収集し,DNAチップによるエクソーム解析を行い,免疫遺伝子学的背景を解析する.
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次年度の研究費の使用計画 |
細胞培養,免疫細胞染色,免疫ブロットに関わる消耗品,抗体等,DNA抽出および解析委料,研究成果の論文や学会発表に関わる諸費用に使用する.
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