研究課題
細胞に小胞体ストレスを長時間与え続けると、細胞はアポトーシスを起こす。この小胞体ストレスにおけるアポトーシスの誘導機構についてはいくつかの機序が考えられているが、未だ不明な点が多い。このアポトーシス調節機構に対する、甲状腺ホルモン受容体の作用機序につき検討した。A. 小胞体ストレス下の遺伝子改変マウスの膵臓(主にβ細胞)・腎臓(血管内皮細胞、メサンギウム細胞)におけるストレス応答蛋白、アポトーシス関連蛋白の発現レベル、キナーゼ活性の検討:甲状腺ホルモン受容体ノックアウトマウスに高カロリー食を与え、膵臓、腎臓、白色脂肪組織、褐色脂肪組織を回収する。それぞれの臓器における、小胞体ストレス応答蛋白(PERK、elf2a、ATF4、 CHOP)とその下流にあるアポトーシス関連蛋白(Bcl-2、Caspase)の発現、キナーゼ活性の検討を行った。高カロリー食で飼育した甲状腺ホルモン受容体ノックアウトマウスでは、高血糖とインスリン分泌能の低下が見られた。膵島ではeIF2αとATF4の発現の低下が見られた。B.転写因子ATF4の発現調節における甲状腺ホルモン受容体の作用の検討:小胞体ストレスが軽減されない細胞では「恒常性の維持」から「アポトーシス」へと変換される。この過程でのATF-4の産生は、アポトーシス促進性の転写因子であるCHOP/GAD153の産生へとつながる。このことからATF-4の発現調節は「恒常性の維持」から「アポトーシス」への変換に関与している可能性が考えられている。甲状腺ホルモン受容体ノックアウトマウスではATF-4の発現低下が見られ、このことが抗ストレス作用の低下の原因と考えられた。
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