研究課題/領域番号 |
24591361
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
花田 礼子 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (00343707)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 神経ペプチド / 新規生理機能解析 / 遺伝子改変マウス / 慢性炎症 |
研究概要 |
本研究では一連のニューロメジンU関連ペプチド(ニューロメジンU、ニューロメジンSならびにペプチドX)の新規生理機能解析を野生型マウスやそれぞれの遺伝子改変マウスを用いて解析を行っている。 平成24年度は、新規生理活性ペプチドXに関して、Cre-LoxPシステムを用いた条件つき遺伝子欠損マウスの作出に成功し、その「flox/floxマウス」と「β-actin Creトランスジェニックマウス」との交配により、ペプチドXの全身性遺伝子欠損マウスの作出が完了した。現在、このマウスを用いて、代謝・肥満関連の解析(通常食時や高脂肪食時での表現型の解析)ならびに神経系の解析(報酬系や記憶・学習に関与する表現型の解析)を行っている。 次に、従来から解析しているニューロメジンUの生理機能に関しては、末梢組織における炎症作用との機能関連から、肥満・代謝疾患の中でも慢性炎症作用が強く関与しているといわれているNASH/NAFLD(nonalcoholic steatohepatitis / nonalcoholic fatty liver disease)に着目してNMU作用の検討を行っている。その結果、食事誘導性NASHモデルマウスの肝臓組織においては、非NASHモデルマウスの肝臓組織にて通常殆ど検出する事ができないNMUならびにNMUR1 mRNAsの発現量の増加が認められた。NASHの病態においては、炎症性サイトカインや肝臓組織へのマクロファージの浸潤が認められるが、今回申請者らの用いた食事誘導性NASHモデルマウスの肝臓組織においても同様の所見が認められ、更に、興味深い事に、NASHモデルマウスの肝臓の免疫組織染色にて、NMU抗体とマクロファージのマーカーであるF4/80抗体との共染色が認められた。以上から、NASHの病態におけるNMU/NMUR1経路の関連が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
現時点でペプチドXの全身欠損マウスの作出に成功し、次段階である表現型の解析に進んでいる。 NMUの新規生理機能の解析に関しては、平成24年度の研究結果から食事誘導性NASH病態モデルにおけるNMU/NMUR1経路の関与の可能性が示唆され、次年度のNMU遺伝子欠損マウスにおける解析に向けて順調に実験計画を進めて行く予定である。
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今後の研究の推進方策 |
ペプチドXの生理機能解析については、作出したペプチドX全身性遺伝子欠損マウスを用いて現在解析中の肥満・代謝関連の表現型ならびに記憶・嗜好性に関与する中枢性の表現型の詳細な解析をおこなう計画である。 NMUの生理機能の解析に関しては、NMU遺伝子欠損マウスを用いて、食事誘導性NASHモデルを作製し、欠損マウスとそのコントロールマウスにおけるNASH病態の進行状態等の詳細を検討し、NASH病態時におけるNMUの生理的意義を検討する。
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次年度の研究費の使用計画 |
本研究を遂行するにあたり、次年度は作製したマウスの表現型解析、ならびにその結果から推定されるメカニズムの解析に重点を置く事になる。よって、次年度の研究費の使用計画としては、主に、生理機能解析、生化学実験、細胞培養などに必要な試薬や器具、ならびに実験動物の飼育代や餌代などの消耗品費として研究費を使用する予定としている。
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