研究課題
今年度の研究では、血中に存在する循環因子BMP-9の内分泌作用について研究を進めた。BMP-9は他のBMP分子と比して高濃度に存在しているが、その生殖内分泌作用は不明であるため、ラット顆粒膜初代培養細胞を用いてステロイド産生に対する影響とoocyteとの関連を検討した。その結果、BMP-9はFSHにより誘導された顆粒膜細胞でのEstradiol産生能には影響を与えないが、Progesterone合成を濃度反応性に抑制することが明らかとなった。また、この作用はoocyte存在の有無により変動せず、BMP-9はFSHによるcAMP合成をProgesterone同様に濃度反応性に抑制し、FSHにより誘導されるStAR・P450scc・3βHSDおよびFSHRのmRNAレベルを抑制した。さらに、BMP-9は顆粒膜細胞の細胞内シグナル伝達として、Smad1/5/8のリン酸化を介することが示唆された。BMPの受容体ECDやALK阻害薬を用いた検討から、BMP-9の顆粒膜細胞における受容体としてALK-1/BMPRIIが機能することが示された。BMP-9はoocyteでなく顆粒膜細胞に発現を認めており、卵胞に局在する他のBMP分子と同様にFSHにより誘導されるProgesterone合成を抑制し、黄体化抑制因子として機能する可能性が新たに示された。現在、卵母細胞転写因子Foxo3aに着目し、BMP-15の発現調節について検討している。Foxo3a過剰発現による卵胞BMPシステム発現への影響、ステロイド合成系・細胞分裂周期の変化へアプローチし、mutant-Foxo3a導入によるFoxo3a活性調節下でのBMP-15/BMP受容体の発現・機能への影響について研究を進めている。
すべて 2015 2014
すべて 雑誌論文 (9件) (うち査読あり 7件、 オープンアクセス 7件、 謝辞記載あり 4件) 学会発表 (14件) (うち招待講演 2件)
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