研究課題/領域番号 |
24591365
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 徳島大学 |
研究代表者 |
吉本 勝彦 徳島大学, ヘルスバイオサイエンス研究部, 教授 (90201863)
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研究分担者 |
岩田 武男 徳島大学, ヘルスバイオサイエンス研究部, 助教 (10350399)
水澤 典子 徳島大学, ヘルスバイオサイエンス研究部, 助教 (80254746)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 腫瘍 / microRNA / 下垂体 |
研究概要 |
マイクロアレイで発現の変化が認められたmiRNAから、特徴的な変化を示すmiRNA種を選び、GH腺腫、ACTH腺腫、PRL腺腫、FSH/LH腺腫について正常下垂体組織との発現の差異を検討した。また、マウス・ラット由来の下垂体腫瘍細胞株における発現を検討した。 total RNAを抽出し、TaqMan® MicroRNA Assaysを用いて定量した。1)miR-137 (染色体における位値:1p21.3)は、FSH/LH腺腫、ACTH腺腫で多い、2)miR-375 (2q35)はPRL腺腫を除いて多い、3)miR-551b (3q26.2)はGH腺腫で多く, ACTH腺腫で少ない、4)miR-96 (7q32.2)はGH腺腫、FSH/LH腺腫で多い、5)miR-183 (7q32.2)はPRL腺腫、ACTH腺腫で少なく、FSH/LH腺腫で多い、6)miR-410 (14q32.31)はFSH/LH腺腫、ACTH腺腫で少ない、7)miR-495 (14q32.31)はFSH/LH腺腫、ACTH腺腫で低い、8)miR-1260 (14)はGH腺腫で高い、9)miR-132 (17p13.3)はACTH腺腫で低い、10)miR-144 (17q11.2)はACTH腺腫FSH/LH腺腫、PRL腺腫で高い、11)miR-7はGH腺腫で高い。 異常の結果より、14q32.31においてクラスターを形成するmicroRNA (miR-410、miR-495)は、FSH/LH腺腫、ACTH腺腫で発現が低いことを認めた。またマウスFSH/LH腺腫細胞株であるLβT2、αT3-1で発現が少ないことを認めた。本領域に位置するmicroRNAについて、マイクロアレイの再解析によりFSH/LH腺腫、ACTH腺腫における29種の発現減少が確認された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
下垂体腺腫におけるmicroRNAの発現を検討する上で、当初は低分子RNAを抽出してTaqMan® MicroRNA Assaysによる定量を行った。しかしながら、腺腫間でばらつきが大きかった。これはmicroRNAを含む低分子RNAの抽出効率が腺腫間で差異があると考え、total RNAを材料とした。その結果、腺腫間のばらつきは減少した。また、microRNA定量における内部コントロールの検討を行った。ヒト腺腫ではRNU48、RNU44、U6が、マウス組織ではU6、SNO202が適していることを確認するのに時間を要した。 また、LβT2細胞、αT3-1、AtT20細胞にpre-miR-137、pre-miR-132を導入することにより、細胞増殖に対する影響を検討しているが、細胞増殖に対する抑制が観察される場合とそうでない場合があり、実験上の問題か検討が必要である。
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今後の研究の推進方策 |
14q32.31に位置するmiR-410、17p13.3に位置するmiR-132、1p21.3に位置するmiR-137について、プロモーターのメチル化による発現低下の可能性をけんとうするために、LβT2細胞、AtT20細胞を5-aza cytidine処理して発現が増加するか検討したが、明らかな増加を認めなかった。しかし14q32.31はインプリンティングを受ける領域であることから、FSH/LH腺腫、ACTH腺腫での発現が低下にメチル化が関与していることが想定される、このため腺腫におけるCpG領域のメチル化の有無をbisulfite sequencingにより確認する。 miR-551bはACTH腺腫で減少していることから、ACTH腺腫細胞株であるAtT-20に導入することにより、細胞増殖に対する影響を検討する。またTargetScanなどのmRNA標的予測プログラムでは、miR-551bの標的として細胞増殖因子の受容体であるERBB4が候補になっている。そこで、ルシフェラーゼ遺伝子下流に、ERBB4 3’ UTRのmiR-551b結合予想部位を組み込んだレポータープラスミドを作製し、細胞に遺伝子導入することにより、標的遺伝子か否か検討する。
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次年度の研究費の使用計画 |
実験に必要な消耗品と研究の打ち合わせ・発表のための旅費にほとんどの研究費を充てる。 次年度の繰り越し額は消耗品に使用する予定である。
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