研究課題/領域番号 |
24591365
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研究機関 | 徳島大学 |
研究代表者 |
吉本 勝彦 徳島大学, ヘルスバイオサイエンス研究部, 教授 (90201863)
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研究分担者 |
岩田 武男 徳島大学, ヘルスバイオサイエンス研究部, 助教 (10350399)
水澤 典子 徳島大学, ヘルスバイオサイエンス研究部, 助教 (80254746)
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キーワード | 下垂体腺腫 / miRNA |
研究概要 |
マイクロアレイ解析のデータから,各タイプの腺腫で特徴的な発現を示すmiRNA候補を選別し,各タイプの下垂体腺腫でのそれらのmiRNA発現量をqRT-PCRで検証した。 正常下垂体,GH,PRL,ACTH,FSH/LH,ナルセルの各腺腫間で発現量に差異が認められるmiRNAを同定した。このうち正常下垂体とACTH産生腺腫あるいはFSH/LH産生腺腫間で顕著な発現量の差異が認められたmiR-132,miR-137,miR-551bについて,マウスの各組織での発現量を比較検討し,これらが下垂体と大脳で高発現していることを示した。 ACTH産生腺腫で低発現を示したmiR-132およびmiR-551bを,ACTH産生細胞由来細胞株AtT-20に過剰発現させると細胞増殖が抑制されたが,ヒト腎線維芽細胞株293FT細胞では抑制が認められなかったことから,これらのmiRNAがACTH産生細胞特異的に細胞増殖を抑制することを示した。 miR-551bの標的遺伝子候補をin silico解析により検討し,候補遺伝子として選んだERBB4 mRNAを高発現しているACTH産生腺腫を認めた。さらにmiR-551bとルシフェラーゼ-ERBB4 3'UTRを含むレポータープラスミドの導入細胞のルシフェラーゼアッセイにより,ERBB4がmiR-551bの標的遺伝子であることを示した。ACTH産生腺腫におけるmiR-551bの低発現と,そのプロモーター部位のCpGアイランドのメチル化には関連性を認めなかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ACTH産生腺腫で特徴的なmiRNAの発現パターンを明らかにできた。他のタイプに特徴的なmiRNAの発現パターンおよびその意義の解明が今後必要である。
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今後の研究の推進方策 |
GH腺腫および FSH/LH腺腫、null cell腺腫、ACTH腺腫における14q32.3 miRNAs発現機序の解析 1)14q32.3領域のゲノムコピー数の解析 GH腺腫においては14q32.3領域のゲノムコピー数が増幅、FSH/LH腺腫、null cell腺腫、ACTH腺腫においては欠失している可能性について検討する。 2)14q32.3領域におけるDNA調節領域のメチル化の解析 GH腺腫においてはloss of imprinting(低メチル化)、他の腺腫においてはgain of imprinting(高メチル化)により14q32.3 miRNAsの発現が調節されている可能性がある。正常下垂体および各タイプの腺腫ゲノムDNAにおける14q32.3領域におけるDNA調節領域 のメチル化状態をbisulfite sequencing法にて解析する。
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次年度の研究費の使用計画 |
当初予定した消耗品が節約できたため、次年度に繰り越した。 物品費、旅費、その他(機器使用料、論文校正料、論文投稿料)に用いる予定。
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